僕「面白かったなー。名作ってほどじゃないけど、新しいこと試してたりして、楽しめた」
嫁「うん、観てて気持ちのいい映画だったよね~。こういうの好きだよ」
僕「後味もよかったしね」
嫁「私はヒロインが好きだなー。かわいかった。」
僕「たしかに。バリバリのハリウッド女優って言うより、チャーミングな女の子って感じ。等身大って言うのか。」
嫁「それに、彼氏に優しくされて喜んだり、Aのことで恋に落ちていく様子がなんだか可愛らしかったんだよね」
僕「ほー、なるほど」
嫁「アメリカっぽくない奥ゆかしくて謙虚なカンジがいいのかなぁ」
僕「そういうの日本人の好みだもんね。僕も好き。言われてみれば体型も顔つきも、わりと日本人の好みに近い気もするな」
少女漫画
僕「あの、霊がいろんな人に乗り移っていく設定はどうだった?」
嫁「疑問に思う点はいくつかあるけど、でも発想としてはすごく面白かったよ。もし自分の身の回りで起こったらどうしよう~って想像しちゃって、楽しい」
僕「そういうの少女マンガとかでありそうだよね?」
嫁「あるよ!めっちゃあるよ!(笑)」
僕「女の子が非日常的な恋愛体験に憧れるのは万国共通なんかな。」
嫁「そうそう。ドキドキするからかなー」
僕「吊り橋効果…」
嫁「そっちはどうだった?」
僕「正直、設定がガバガバというか、『無理があるやろ!(笑)』と突っ込みたくなったけど、でも面白い発想だなーと思ったよ」
嫁「まぁ、冷静に考えると大変だよねぇ」
僕「ある男の子に乗り移って、それでヒロインとベッドインしたら、翌日記憶残ってたりしないのかな」
嫁「うわぁ。それはイヤやなぁ」
僕「『なんかよく覚えてないけど、昨日知らない女とエッチしたわ!!』ってなってるんちゃうかと」
嫁「再会したら気まず過ぎるわ」
僕「あとは劇中でも語られてたけど、子供作るのどうするのかとか、つきあい続けるのどうするとか、面倒くさい問題が山積みなわけで。」
嫁「うん、まあ、せやな」
僕「まぁでも、大人が冷静に考えて『これはムリやろ~』って恋愛を『好きだから!』って突っ走れちゃうヒロインは、かわいいよね。皮肉だけじゃなくて。」
嫁「女の子なんてそんなもんやで!ゴーゴー一直線や!」
僕「映画前半でも悪い男とつきあっても気づかず、ひどい目にあってたもんなぁ。どっかの誰かさんみたいや。」
嫁「ああいうのはな…人に指摘されてもダメなんや…。本人はそれでも幸せって思いこんでるし、距離を置いて自分で気づくしかないんやで…」
僕「さすが経験者の言葉は重い」
嫁「うっさいわ!」
僕「結局この関係って、ヒロインの女の子の一途な恋心があって初めて維持できてるんだよね」
嫁「そう言われれればそうやね。あの子の気持ちが少しでも引いてしまったら、どうしようもないもんね」
僕「その不安定さこそが、この映画というか、こういう風変わりな恋愛の魅力なのかもしれんね。恋心の重要度が上がるというか、関係を維持する頑張りが美しく見えるというか…」
嫁「はー。そうかもなー」
僕「儚くて手に入れるのに労力がかかるものは価値が高くみえるのだよ」
嫁「うーん、本当の幸せって、むしろフツーの日常にあると思うんだけどね。でもあの子達も若いから、まだわからなくても仕方ない」
高校演劇
僕「そういえば映画観てて思ったけど、この話って高校演劇に向いてないかな」
嫁「あー、同年代ばっかりでてくるしね」
僕「そうなんだよねー、しかも複数の部員にAっていう主役を演じさせてあげられるし。設定がすごく高校演劇に向いてるんだよ」
嫁「実践的な分析やな(笑)」
僕「キスシーンとか多かったけど、そこはうまいこと誤魔化すとして…」
嫁「あ、高校演劇ってキスせえへんの?」
僕「しないしない!高校生ってキスの価値が大人よりずっと高いし無理(笑)それに、もししたら演劇部以外からすごいからかわれると思うと怖いね」
嫁「まあ、私は今でも他の人とキスは無理やな…」
僕「あ、でも一校だけ男子校の芝居でキスシーンあったな…」
嫁「!!?」
僕「あとさ、高校演劇だと純粋なラブストーリーよりテーマ性のあるものが好まれるんだけど、この映画はラストシーンで『つながり』や『存在の肯定』っていうテーマが感じられて、そこもいいんだよね~」
嫁「インスタに『いいね』するやつ?」
僕「うん。僕はあのシーンがすごく好きだな。やってることは『いいね』なんだけど、絵面としてはハートマークになっててさ。あの距離感と想像の余地はいいセンスだよね~」
嫁「全体的にSNSを上手に使ってたよねー。最近の映画ってカンジで。あの辺は演劇だとどうやって表現するの?」
僕「近頃じゃ高校演劇でもプロジェクターを使うのは珍しくないよ。あとはパワポでも動画でもうまく活用すればいい。」
SNS
嫁「SNSを活用した映画って言うと、以前『白ゆき姫殺人事件』を観たんだけど、あれはイマイチだったよ…」
僕「原作読んだけど、映画は観てないなぁ」
嫁「なんかね、SNSの世界を上手に活かそうとしたんだろうけど、肝心の物語が大して面白くないと言うか…」
僕「そうだったねぇ。実験的な作品と言えるほど大胆なことを試してるわけでもなかったし。」
嫁「うん、ムリして頑張ってSNS使ってる感があって、なんか違うな~っておもった」
僕「物語のアイテムや表現手法としてSNSを使ってるんじゃなくて、『SNSを使った作品をつくりたい』ってなってる」
嫁「そう。SNSが手段じゃなくて目的になってる」
僕「湊かなえさんはSNSを不気味な異物として捉えてるんだろうなー。この映画作った人はスマホやインスタが当たり前に身近にある感じ。」
嫁「あー、それそれ。若者が受け入れやすいのは後者だよねー。」
僕「(ハッ!)そういう点も高校演劇にぴったりで…」
嫁「推すね…」
僕「まとめてみると、少女漫画のようだけど、日本のティーンズ向け恋愛映画よりも見応えがあった作品でした」
嫁「妄想想像をかきたてられるファンタジーだね。ヒロインかわいかった!」