ララランドが賛否両論なわけ/否定・批判意見のまとめ


「アカデミー賞を席巻!!!」という前評判にも関わらず、実際に上演されたララランドには決して「全員が感動!!」という作品ではありませんでした。
一体なぜ、こんなに意見が別れてしまったのでしょうか。その理由の分析・考察、そしてネット上のララランドに対する意見や感想をまとめてみました。

映画は評価が別れて当たり前

まず前提として、本来映画は好みが別れるものです。

僕が大好きな『パシフィック・リム』(巨大ロボットがロケットパンチで怪獣を倒すハリウッド映画)を嫁が楽しんでくれるとは思えないし、「超カッコいいしおすすめ!」と『ファイトクラブ』をみせたら「痛い恐い好きじゃない!!!(TT)」とガン拒否された経験があります(笑)

逆に、嫁が好きなのは恋愛映画やディズニー映画。僕は、嫌いではないですが、嫁ほど夢中にはなれません。

どんな往年の名作でも「自分には合わなかった」という意見は出てきますし、百人が百人「最高だった!!」という作品は今のところ観たことありません。
「これは誰でも好きだろ!!」と思ってたバック・トゥ・ザ・フューチャーですら「イマイチ」って言う人はいましたからね…
映画とは、基本的に賛否両論なのです。

しかし実際には、どんな映画もそれなりに自分の好みにハマる印象をもってるかと思います。それは、「どの映画を観ようかな~」と選んでる段階で、自分の好きそうな作品をある程度見極めて選別をかけているからです。

たとえば僕がレンタルビデオ屋に行っても、甘~いラブロマンスを借りることはまずありません。嫁が巨大ロボット映画を借りてくることも未来永劫ないでしょうw

つまり基本的に映画って、ターゲット層の観客しか観ないんです。そのジャンルが好きな人ばかりが観客になり評価をつけるのです。わざわざ「観たこと無いけど、これ面白そう!!」と棚から引っ張りだしてる時点で、あなたはその映画のターゲット層なのです。

特にマイナー映画ほどそういう傾向が強くて、すごいクセの強い映画も大絶賛されていたりします。賛否両論の「賛」の人しかその映画を観ないのですから、そりゃ評価も高くなりますよね。

逆に『ララランド』は、本来男女がダンスを踊って見つめ合ってる映画を観ない観客層まで「なんか面白いらしいね?」とドッと押し寄せてしまいました。アカデミー賞効果ですね。
その結果「あんまり好みじゃなかったわ…」という評価も増えてしまったのです。

もし、何の賞も受賞せず、面白いという評判を聞いていない状態で、レンタルビデオ屋でこんなパッケージ(↓)を見つけたら、あなたはこの作品をレンタルしたでしょうか。

このパッケージ、冷静にみるとどう観ても「甘いor切ない」系の恋愛映画です。この時点でだいぶ好みが別れますよね。
「観たい!!面白そう!!」と借りる人もいれば、「自分の好みでは無さそうだな」と棚にすっと戻す人もいます。(僕はどちらかというと後者。。)

つまり、この映画の評価が別れる理由は「期待していたほどではなかった」という一言に集約されているんです。

パッケージを観て「面白そうな恋愛映画だな」と借りたのではなく、過去最多部門アカデミー賞ノミネート!!!あの『ララランド』!!に惹かれて、「こんなにアカデミー賞を受賞してるんだからきっと面白い映画に違いない」と期待した人間は、どうしても期待を裏切られます。

映画賞はある程度の目安ではありますが、万人の好みをカバーするわけではないのです。

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もちろん、好きそうな映画!!とワクワクしながら借りたのに「恋愛映画を期待していたけど、好みのラストではなかった」「ミュージカル映画が好きだけど、好みのテイストではなかった」という微妙な味付けの好き嫌いもありますけどね。

ハリウッドを舞台にした映画は評価されがち

「じゃあなんでこんな映画が映画賞を受賞できるんだよ!!もっといい映画あるじゃん!!」という意見もあるかと思います。

僕個人はこの映画がわりと好きだし(星4つぐらい?)、この年にノミネートした映画の中で特段思い入れの強い映画もないので、別に受賞しても違和感はありません。
ただ、人によっては納得できない人もいるでしょう。(繰り返しますが映画の好みは人それぞれです。)

そんな人も納得できるような、「ララランド」がアカデミー賞で有利な要素を一つ上げます。
それはこの映画がハリウッドの映画界を舞台にしているという点です。

アカデミー賞の選考って誰がしているか知っていますか?
実はアカデミー賞は、ハリウッドの映画関係者が選ぶ賞なんです。
そのせいか、どうもハリウッドを舞台にした作品は好意的な評価がされている印象にあります。

たとえば数年前には『アルゴ』という映画がアカデミー賞の最高賞である「作品賞」を受賞しました。

これがアカデミー賞作品賞?『アルゴ』受賞への不満と納得
うーん、面白くなかったとまでは言いませんが…。 正直言って、アカデミー賞作品賞には役不足です。映画を観てから作品賞って知って「え?...

これはハリウッドのスタッフが人質救出作戦のために偽の映画撮影大作戦に協力!」という史実を映画化したもので、そりゃ確かに誇らしいでしょうが、身内贔屓感がすごいです(笑)

その点では、「ララランド」もまさしく一緒。舞台もハリウッドだし、ハリウッド映画界で苦労してきて成功した人間にとってすごく“刺さる”映画だと思うんですよね。
もちろん、それだけで受賞の決め手になるほどアカデミー賞も甘くはありません。しかし審査員(=ハリウッド映画関係者)の琴線をくすぐり、選考に有利に働いた可能性は十分考えられます。

わざわざwikipediaにもこんなことが書かれているくらいです(笑)

アカデミー賞はハリウッドの映画関係者が選考を行うことから、各賞の選出については、アメリカの国情や世相などが色濃く反映され、必ずしも芸術性や作品の完成度の高さでは選ばれない。

アカデミー賞受賞=素晴らしい作品とは限りません。

ララランドへの批判をまとめてみた

ネット上にあるララランドへの批判を色々集めて分析してみました。

ジャズじゃない

この監督の前作「セッション」の時にも同様の批判がありました。(ジャズドラマーの物語でした)
僕は音楽に関しては完全に素人耳で、正直あまり理解できていないのですが、「ララランドはジャズを舞台にしながらまるでジャズを理解していない!」と許せないそうです。

ジャズミュージシャンであり、映画評論家かつジャズ評論家としても活動しておられる菊地成孔さんがその急先鋒です。

一方で、これらの論調に対し「ジャズ警察」と揶揄する意見もあります。

ジャズ警察とは
○○警察とはネットスラングのひとつで、ちょっとでも間違えると口うるさい専門家がコメントを寄せてくる現象を指して言います。

例1:戦争を舞台にしたマンガをネットにアップ→ミリタリー警察「この時代背景なら陸軍の銃は○○式△年型なはずですが?」
例2:芸能人が和服姿の写真をアップ→和服警察「着付けが間違ってらっしゃいますよ?和服は正しく着ないと…(^^;」

特徴:うざい

ミュージカルじゃない

これも「ジャズじゃない」に通じるように思えますが、どちらかというと「典型的な楽しいミュージカルを期待して借りたのに、思ったほどミュージカルじゃなかった…(´・ω・`)」という論調です。

確かに楽しげなミュージカルっぽい売り方をしていましたし、映画冒頭15分ぐらいはまさにそんなミュージカル仕立てだったし、期待しても仕方ありません。

この人たちは、「自分の好きそうな映画!」とわくわくさせられちゃっただけに、ちょっと同情してしまいます

テーマ性がない、難しい問題にきりこまない

楽しげなミュージカル作品でも、大きなテーマに挑んでる作品は多々あります。たとえばヘアスプレーは「人種差別問題」、gleeは「スクールカースト」だとか。難題にがっつり取り組みつつも、高い娯楽性も両立した名作と評価されています。

しかし、よくよく考えればララランドはそういう難しいテーマに全く切り込んでいきません(笑)
たとえば「ジャズとは何か」「商業音楽と芸術音楽」「夢を追うことと生活」といった論点がでたと思っても、スルー。二人の関係性にだけスポットを当てており、その他の要素を一切省いています。これを指して「キラキラ至上主義」なんてうまい表現もありました。

こういう「難しい話はいいからキラキラした恋の話をしましょう!」というララランドの姿勢に対し、「なにコイツ…なんでアカデミー賞を受賞してんの…」という戸惑いを感じている方が割といらっしゃいます。

実際のところ、“映画は物語を介して何かを語らなければいけない”という決まりがあるわけでもありませんし、社会的な問題について語る作品ほど受賞に相応しいと言うことは全くありません。これは個人の好みの問題なのです。

少女マンガだ、ストーリーがありきたりだ、セカイ系だ

前の「テーマ性がない」に通じるものもありますが、ララランドは一貫して恋物語です。きっとどこにでもある恋物語で、普遍的で、ありきたりです。

また二人とも大成功するのがご都合主義すぎるというか、「地道な努力を描いていないから説得力がない」という意見も一理あります。たしかにこのへん少女マンガっぽいかもしれません。

そしてセカイ系とは「僕と彼女の二人だけで完結した物語」なのに「このセカイ」とか言っちゃうような作品だったり、あるいは「僕と彼女の関係」が「セカイの危機を救う」という作品群を揶揄して言います。

ただ、それがいけないわけでは決してありません。そういうのが好みな方もいます。こんなポスターやDVD表紙の時点である程度「そう言う作品なのかな」と想像がつくとも思います。

「いやいや!恋愛映画でもいい作品はいっぱいある!この作品がアカデミー賞ってのが理解できないんです」と反論されそうですが、たぶんその方とアカデミー賞選考委員の方の好みが違ったんでしょう。

最後の展開が許せない、他の男と結婚したのが許せない!

うん、気持ちはわかる。わかります。
でもセブは再会した彼女に対して小さく頷いてたんです。きっと彼自身は「これでいいんだよ」って思ってるんですよ…。
だから星1はやめてあげて。

マイノリティを無視した白人至上主義を感じさせる

「黒人文化であるジャズの世界を白人のものにしており、トランプ以降の白人至上主義の影響か、観客が無意識に迎合しているようで不気味で云々」なんて意見もありました。
さすがにちょっと深読みしすぎでは…とも思いますが、最近は人種差別問題についてすごく敏感な人もいるので気になってしまったのかもしれません。

また、「ハリウッド映画は主演俳優・女優を白人ばっかりにしすぎ」というのは前々から議論の的になってきた問題でもあります。とりわけ、ジャズの世界は黒人が優位であった歴史があります。なぜ白人ばかりの世界なんだと突っこまれてしまうのはわからないでもありません。

ミュージカルは苦手です(星1)

流石にこの理由でこの評価はかわいそう(笑)

俺はシュワルツネッガーやセガールじゃないと燃えないから(星1)

なぜ観たwwww

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