『ザ・ビーチ』ネタバレ感想/楽園について真剣に考察

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ビーチ
レオナルド・ディカプリオ主演の『ザ・ビーチ』を観てみました。当時ディカプリオはタイタニックで爆発的に人気を得た直後で、100本近い映画のオファーを受けていたそうです。
そんな中選んだのが、このイロモノ映画。地上の楽園と楽しい共同生活、そして狂気と崩壊を描いたインパクトのある作品でした…。う~ん、なぜコレを選んだ。ディカプリオのこういう役者魂というか、若干変人なところというか、大好きです(笑)

さて、この地上の楽園、結果的にはリーダー・サルの「秘密を守るためには犠牲はやむを得ない」という非人道的な態度により崩壊を迎えてしまいました。(どうでもいいけど猿が登場した直後に「サルの所に案内しよう」という字幕はややこしすぎるよね by嫁)

しかし、もしあの非常な態度が無かったら「地上の楽園」は維持できていたのでしょうか?
いや、そもそも、地上の楽園とは何でしょう?
ちょっと考察してみたいと思います。

あのビーチは本当に“楽園”か?

地上の楽園“ビーチ”は、最終的にはサルがディカプリオに向かって銃をひいたことによって皆の信頼を失い、崩壊しました。
(あのシーンでサルの彼氏まで一目散に逃げていったのには笑った)

ただ、これはちょっとばかし不幸な事故という気もします。
そもそも、ディカプリオが処刑されそうになったのは彼の無謀な行動が大麻密造者たちの逆鱗に触れたからですし、ディカプリオが彼らにちょっかいをかけたのは「来訪者を見張る」という過酷な任務(と浮気がばれてフられたショック)で精神に異常をきたしたからです。

ディカプリオさえ錯乱しなければ、あの楽園は維持できたかもしれません

でもあの映画を観ている人なら、誰もが疑問を抱くはずです。
「あれは、本当に楽園だろうか」と。

医療制度の不備

「あの島は、まずお医者さんを一人用意すべきやよ…。」

一緒に映画を観た嫁が、最初に呟いたのがこの一言。
全く持ってその通りです。

物語の中盤、鮫に襲われ怪我をした人たちは「医者を呼ぶわけにいかないから」という理由で放置されました。いやいや、ヒドすぎるだろ!!

いざという時のために、病院送迎用のボートを用意するとか、提携医療機関とか、せめて十分な医薬品ぐらい用意しておいてほしいものです。

だいたい、怪我をした男を見捨てるということは、自分が怪我をしても見捨てられるということです。彼らはあの事故の時、危機感をもたなかったのでしょうか…?

意外と乏しい娯楽

南の島の楽園で、バンガローに揺られながら、ゲームボーイ。
僕にとって非常に印象的だったシーンです。

いやいや、せっかく地上の楽園に来たのにそれかよ!もっと満喫しろよ!!
…まあ、ぼくも日本人なので「短い休暇なんだから、現地を満喫すべき」という呪いにかかっている部分も否めませんが。

ただ、ディカプリオがサルと買い出しにいくとき、それぞれ雑誌やら乾電池やらを頼んでいましたよね。やはり、あの「ビーチ」単独では娯楽を十分に確保できないという証拠にも思えます。

もし嫁があの島に行くとしたら、正直「綺麗な海で泳ぐ」以外に有意義な楽しみ方を見つけられそうにありません(笑)まあこれは個人の好きずきですけどね…。

ちゃんと「労働の義務」がある

全体のための労働の義務。これこそ欠点でもあり、魅力でもある、ビーチの面白いところです。

「地上の楽園」という言葉からはすべての労苦からの解放を想像させますが、意外とあの“ビーチ”は義務としての仕事が多いんですよね。
食事を作る、協力して家を建てる、魚を捕る…
そういった一から何かを作る感覚っていいですよね。まるで「ダッシュ村」みたいで楽しいそうです。

ただ、「村人」にとってはいつもの「労働」で、めんどくさそうにこなしていましたが…(笑)
そりゃまあ、街で暮らせば、お店でもっといい料理つくってくれるし、バンコク辺りなら一日20ドルもだせばちゃんとした宿に泊まれるもんなあ。(僕が旅行したときは5ドル程度の宿ばかり泊まってましたが、それでも)

…地上の楽園でも、働かされるのかー(遠い目)

人間関係、めんどくさい

僕があのビーチで暮らせと言われたとき、一番嫌だと思うのがこれです。

サルの彼氏はやたらとつっかかってくるし、彼女を奪い合っての三角関係もあるし。
だいたい健全な若者を集団でおいといたらどうなるか決まってるだろ!映画で描かれてないだけでもっとカップルいるだろ!

さらに、なんでもみんなで決める合議制というのも気が重い。
このシステム、一見理想的ではあるのですが、実は対立した意見が出た場合に人間関係をこじらせる可能性を秘めています。大学の部活がそんな感じで大変だったんだぜ…。
そうならないためには、日頃から人間関係に配慮をしなきゃいけません。

人間関係気にしないタイプなら大丈夫でしょうし、人付き合いが苦にならない人でも大丈夫でしょう。でも俺は正直遠慮したいっす。

気がつきにくいですが、実は現在の日本ような間接民主主義は「意見が対立したときの人間関係ストレスを無くす」という意味で非常に有意義なのです。

こんな感じで、あの“ビーチ”って実はあんまり楽園っぽくないよなあ、と思うのですが、どうでしょう?

それでもビーチが“楽園”な理由

しかしあのビーチはやはり楽園なんです。

そう言い切りたい理由があります。

美しいビーチを独占

映画の中で、あのビーチがいかに美しいところかが繰り返し語られていました。
正直、南の島のビーチなんてどこも美しい気もするし、あの島が格別素敵とは思いませんでしたが、しかしそこを独占できるとなると話は別です。

あれだけの砂浜を!自分たちだけで独り占め!
まさに究極のプライベートビーチですね。
この満足感、優越感はあのビーチの大きな魅力ではないでしょうか。

バックパッカーが求めていた世界

しかし、本当の魅力は実はこっちではないでしょうか?

バックパックひとつで世界中を気ままに旅する人たちのことをバックパッカーと呼びます。
安宿に泊まり、旅人同士でつるんだり別れたり、何週間も、何ヶ月も、あるいは何年もフラフラと旅をする人種です。

実は僕も、もうずいぶん前ですが、バックパッカーに憧れ、真似してふらふらと旅をしていた時期がありました。ま、夏休みの間だけの、かわいいもんでしたが。

彼らバックパッカーは、なぜわざわざあんな不便な旅行をするのか?僕なりに理解できるものがあります。

 あるいは、日常では味わえない刺激がほしいから

 あるいは、誰にも指示されることなく自由を楽しみたいから

 あるいは、辺境でも自分の力で生き抜ける実感がほしいから

 あるいは、人との出会いを楽しみたいから

しかし冒頭、ディカプリオはバックパッカーの旅に倦んでいる様子をみせていました。
これ、ある程度バックパッカーをしていると、生じてくる“矛盾”だと思うんです。

「結局はバックパッカーも安全な消費活動でしかない…」

「知らない奴とバカ騒ぎするのが本当の自由か…?」

「人混みだらけの観光地など飽き飽きだ…」

きっと彼も青春の迷路に迷い込んでしまったのでしょう(笑)

そこで登場したあの“ビーチ”こそ、それらの矛盾を全て解決してくれる「バックパッカーの楽園」なんです。

自分たちの力で、食料を調達し、家を建て、共同体を維持する究極のサバイバル感

人混みの鬱陶しさ、猥雑さを完全に排除した誰も知らない無人島

個性的なバックパッカーだけが構成する、気心が知れ、なおかつ刺激的な共同生活

そして、この秘境を「自分たちだけが知っている」という圧倒的優越感…。

彼らがあのビーチに魅了された理由も、よくわかる気がします。
医療や福祉がおざなりになっていたのも、娯楽が乏しいのも、「だって、バックパッカーの旅ってそんなもんだもんね」と思うと妙に納得できます。

そうそう、あのゲームボーイのシーンだって、納得できるんです。
僕もその旅の中で、屋外のリクライニングチェアーに寝ころんで、ビール片手に古いアクション映画なんかを観てた日がありました。しかも英語音声、中国語字幕という困った仕様で(笑)
もったいない過ごし方のようですが、これがなかなか最高な時間だったんですよね。

地上の楽園とは何か

結論をいうと、あの島は誰にとっても「地上の楽園」であるとは言えません。しかし彼らバックパッカーにとっては本当の楽園だったと思うんです。

いったい何が「地上の楽園」なのか?そこには何が必要なのか?
考えてみれば、その答えが人によって違ってくるのは当然ですよね。

「将来にわたって安心できる生活」を求める人もあれば、「娯楽の多い刺激的な毎日」を求める人もいる。「究極の自由」、「他人からの不干渉」、「労働からの解放」、「美しい自然」、「快適な生活」、「恋人」…それぞれに自分が思い浮かべる『楽園の要素』は違います。

子供を育て、日々の安全に腐心する僕ら夫婦にはあの島は決して楽園には思えませんでした。
でも、大学生の僕だったらどうだろう。下宿でだらだらしながら、なにか面白いことはないか、誰か遊べる奴はいないか、自分で何か成し遂げたいとひたすら考えていた当時の僕だったらどうだろう。
この映画は、もっと鋭く刺さってきたに違いありません。

逆に考えればこういう事です。
あのビーチに足りないと感じたものは何か?
それこそがあなたの人生にとって必要な『楽園の要素』なんだと思うんです。

「安心」? 「刺激」? 「自由」? 「恋人」?

あなたの人生にとって、一番大事にしなきゃいけないものはなにか?
この映画は、それを見つめ直す、ひとつのきっかけになるかもしれません。

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