池脇千鶴のコメンタリーを観よ!ジョゼと虎と魚たち/ネタバレ感想

joze
当時僕は高校生くらいだったかなー、池脇千鶴は素朴な少女のような印象の新人女優でした。こどもっぽい見た目と、かわいら
しい名前がなんとなく好みだったのを覚えています。
その池脇千鶴がヒロインを務めるのがこの『ジョゼと虎と魚たち』。
おすすめの邦画でちらほら名前が挙がる作品だったので観てみたのですが、なるほど、池脇千鶴はかわいいし、映画はおもしろ
いし、大当たりでした!

82点

池脇千鶴は下半身が不自由な少女ということで、映画を観る前は「あ~、よくあるアレね、障害を持ったヒロインね。」という偏見も少しありました。従来の障害者役にありがちなのは、謙虚で、純情で、優しい心といったベタベタなキャラづくり。そういう子は嫌いじゃないですけどね、物語として楽しむには少々食傷気味です。
僕は別に障害者に感動したいわけでもないし、24時間テレビも観ないし、愛で地球も救わないです。

でも、この作品に関していえば、池脇千鶴のヒロイン役・ジョゼ(もちろん、あだ名です)は大当たりでした。
むしろ、この映画はジョゼ・池脇千鶴の魅力に尽きるといても過言ではありません。
いかにも障害者ってかんじの固定観念に搦め取られることもなく、とっても魅力的な女性で、かわいくて、強くて、要するに池脇千鶴かわいいということをじっくり語りたいと思います。

ジョゼは恒夫(妻夫木聡)と出会い色々あって(めんどくさいので端折ります)、こっそり散歩に連れ出してもらったり、一緒に朝ご飯を食べたりする仲になります。(この「朝ご飯がめちゃくちゃうまい」という時点でだいぶ男性諸君のハートと胃袋を掴んでいるのですが)
ただ彼女はなんだか世の中に対して斜に構えていて、皮肉ばかり毒づくスレた女の子でした。やる気なさそーな低い声で。中学生の背伸びのような微笑ましさはあるものの、そこまで魅力的なキャラではないかなーと思ってました。髪ぼっさぼさだし。

足が動かず外の世界も持たなかった彼女が、優しい男性に出会う。抗えずに恋してしまうジョゼがかわいく、切なく感じます。
レンコンの味見の場面は、二度目にみるとき泣きそうになりました。

しかし、恒夫が早苗(かわいくて愛されるリア充。ばくはつしろ。)と親しくしているのを知り、冷たく拒絶するようになります。女の子ってめんどくさいですよね。
祖母が亡くなった時にやってきて、のうのうとジョゼを心配する恒夫に「あんたなんか関係ない!帰れ!」と怒りを爆発させます。仕方なく恒夫が帰ろうとすると、背中をべしべし叩きながら「帰れ…。帰れて言われて帰るようなやつは、はよ帰れっ!」
ああもうめんどくs

すると抱きついて泣き出すジョゼ。

きゅんとくる男性諸君。

「…帰らんといて…」

(……!!)

「…ここにいて…ずっと…」

や ば い か わ い い 。

池脇千鶴は本来こういった素朴でピュアなのが魅力なのとこを、ここまであえて封印してたのか!今までの皮肉げなキャラとのギャップで、めっちゃ可愛いやないか!!ボッサボサな髪もかわいいやないかあああ!!!(悶絶)

可愛さできゅんきゅんしているところに、さらに追加攻撃の「…ええよ?」ですよ。あのジョゼが、ちょっと不安そうに、おずおずと、「…ええよ?」ですよ!どんだけ萌えさせるつもりだこの映画!これはもう恒夫君しかたないわー。早苗から乗り換えちゃうのも仕方ないわー。

またジョゼは可愛いだけじゃなくて、結構いい性格もしてて、おもしろいんですよねー。
ジョゼが早苗と向かい合うシーンとか、大好きです。

恒夫を奪われた形になる早苗が、ジョゼにストレートに「正直あなたの“武器”が羨ましいわ」と嫌味をぶつけたとき、ジョゼの返しが、不敵に笑いながらこうですよ。
「ほんまにそう思うんやったら、あんたも脚切ってもうたらええやんw」
こええええ!一歩も引いてねえええー!!

何が良いって、ジョゼの返しの小気味よさもそうなんですが、この返しって「障害者」をイメージしてたら絶対浮かばないシーンなんですよね、きっと。映画的に理想な障害者って、もっと謙虚で、みんなに迷惑をかけてることを気にしてて、自ら身を引いたりしちゃうような子なんですよ。(そして男の子が走っていって抱きしめて叫んだりする。ありがち。)

一見「脚が使えない苦労をアンタは我慢できるの?」という重い問いかけにも聞こえるけど、ジョゼの性格からして違うと思うんです。
これ絶対、「あんたが脚を切ったところで負けへんで?w」という挑発返しですよね。
ジョゼは、障害者だからとか、憐れみを武器として使っていない。自分自身・ジョゼとしての魅力で勝負してるから、彼女の挑発にも動じないどころか、逆にやり返すだけの余裕があるわけですよ。
まったく、いい性格しています。

そして終盤のジョゼ!
恒夫が徐々に“怯む”ようになって、それを薄々察しているジョゼ!

恒夫はひどい奴だよなぁ…。でも彼の気持ちもわからんでもないです。具体的に将来を想像するようになると、「身体障害者」ってやっぱり重いんだろうな。一度心が迷うと、彼女が甘えたり駄々をこねたりする態度ですら、“重い”って感じちゃうんですよね。

むしろ観客が引き留めたくなって、恒夫に怒ってしまうような中で、ジョゼは身を引いたりせず、引き留めることもせず。
そして初めての旅行のホテルの中で達観したような悲観したような未来を述べた後に一言、

「ま、それもまたよしや」

そして、静かに微笑みを浮かべるジョゼ!!
なんて強い女性なんだ。僕は完全に圧倒されてしまいました。
恒夫の悔恨だとか、周りの心配だとか、観客の葛藤なんて気にもしていない、彼女はきっと、後悔なんて欠片もしていない…。

彼女ばかり褒めてるようだけど、本当にそうなんですよね。
とびきり可愛くて、小気味いいほど自分を信じてて、圧倒されるほど強くて…。
この映画は最初から最後まで“ジョゼ”なんです。

ちなみにこの映画、“ジョゼ”だけでなく“池脇千鶴”も本当にかわいいんですよ。
どういう事かというと、もちろん物語の中では“ジョゼ”としてしか登場しないのですが、DVD特典のコメンタリー、その池脇千鶴が最強なんです!
コメンタリーの内容は監督の犬童一心と、主演の妻夫木、池脇の3名がこの映画を観ながらコメントしてるもので、気が抜けてて結構面白いんですよねー。思い出話とか雑談とか、仲良くてとってもいい感じ。

そして何より、映画が進むと当然キスシーンだの“あの”シーンが出てくるんですけれど、それを観ながら池脇千鶴が恥ずかしさに本気で悶えてるんです。それがもう可愛いのなんの…っ!(*´Д`)
あれだけ体当たりで演じておきながらこのウブさはどういうことなの?!ああもう、かわいいなあ!!
映画論とか撮影秘話といったイロイロよりも価値あるものを見せていただきました(笑)
いやもう、池脇千鶴ホントかわいいわー。

あと脇役だけど、上野樹里もいい味出してたよ!
ちょっとおもしろい記事あったので貼っておきます(笑)

そんな「ジョゼと虎と魚たち」だが、妻夫木演じる恒夫の恋人・香苗役は100人以上オーディションしても「最後の最後まで見つからなかった」と、犬童氏は話した。

香苗は大学を卒業する役柄から、20歳以上という条件でオーディションをしていたが、結局年齢制限を外して募ったところ「16歳の樹里ちゃんが来たんですよ」と、そこで初めて犬童氏は上野と出会ったのだと明かした。

犬童氏は「樹里ちゃんが扉を開けて入ってきたら、その時にもう『あ、とうとう来たな』っていう感じだったんです」と、上野の強烈な印象を振り返った。

その後、オーディションで演技をした上野は、池脇千鶴が演じるジョゼ役をひっぱたくシーンの演技で、池脇の代役だった助監督を思いっきり殴ったそうだ。

犬童氏は、それまでのオーディションで「本当に殴った子は誰もいなかったの」と言う。

さらに、本当にひっぱたかれた助監督が「おい、なにすんだ。やめろよ!」と言い、オーディションだから本気で殴る必要はないとし、演技をやり直すことになったというのだ。

犬童氏は「で、樹里ちゃんが本当に凄いのは、もう1回やり直したら、もう1回殴ったの。だからもう、役に入ると、全然関係ないの、多分」と、役への入りこみ方の違いを語った。

引用:ライブドアニュース

…うん、上野樹里もなかなか面白い子ですね。
助監督2回目も殴っちゃうとか、その場にいたら絶対笑ってまうわ(笑)

とにかく、ヒロイン描写に一見の価値ある映画です。おすすめです。
池脇千鶴といい、上野樹里といい…妻夫木君はホント爆発すればいいと思います。

あと語り忘れたけど、テーマ曲のくるり『ハイウェイ』が本当に名曲です。この映画にぴったりすぎて、聞いてるだけで切なさと愛しさで胸がいっぱいになります。自転車旅行の時はいつもウォークマンに入れてました。
おわり。

   
原作。まあまあ。   サントラ。僕のお気に入り。

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