邦題、設定…映画オデッセイのよくわからないとこ解説!

odyssey
映画『オデッセイ』の気になる点を解説しました。

  • なんで邦題が「オデッセイ」なの?
  • なぜ基地の入り口で爆発が起こったの?
  • なぜジャガイモに鎮静剤をまぶしたの?
  • なぜ火星探索クルーをすぐに迎えにいかせなかったの?
  • なぜ主人公は、終盤体中にヤケド(?)をしていたの?
  • なぜジャガイモの葉っぱや茎を食べなかったの?

なんで邦題が「オデッセイ」なの?

「オデッセイ」ってカッコ良さげですが正直意味わかんないですよね。なんでこんなタイトルになったのでしょう。

英語版のタイトルは『The Martian』。直訳すると「火星の人」とか「火星人」。
日本でも原作小説の翻訳版は『火星の人』と訳されています。

ただ、『火星の人』だと重厚なSF小説には向いていますが、大ヒットを目指す映画にはちょっと不向きと判断されたのでしょう。

また、英語の『The』の持つニュアンスも消えてしまいます。オンリーワン、みたいな。『ひとりぼっちの火星の人』とかでしょうか。これだと長いか。

それでつけられたのが「オデッセイ」なわけですが、実はこのタイトル、非常にわかりにくいのですが色々と意味が込められています。

まずodysseyという英単語の意味を調べてみると「波乱に富んだ苦難の旅」「長期の放浪」「冒険の旅」「知的探求の旅」などが出てきます。おお~、この映画っぽい。

しかも、この単語には由来がありまして、ギリシャ神話に出てくる「オデュッセイア」が、10年も故郷に帰れなかった苦難の物語からとられているのです!
なるほどー!ますますぴったりじゃないですか!

さらにそれだけでなく、かの宇宙映画の古典的名作『2001年 宇宙の旅』の原題は『2001:A Space Odyssey』だったり、

2001年にNASAが打ち上げた火星探査機の名前が『the 2001 Mars Odyssey』だったりします。
(NASAの命名は映画を意識したユーモアとリスペクトでしょうね。)

このように、思った以上に深い意味を持ったタイトルなのです。
ググらないと全然わかんないけどな!!

余談 ギリシャ神話「オデュッセイア」

ちなみにオデュッセイアさんもかなり不幸な目に遭ってます

戦争が終わって故郷に帰る途中、うっかり一つ目巨人の島に上陸してしまう。

凶暴な巨人に閉じこめられるが、策をもって目を潰し脱走。

実は巨人は海神ポセイドンの息子だった。ポセイドン激オコ。

ポセイドンが嵐を起こし、船は難破。その後10年帰れず。

ようやく帰ってきたら、妻を狙っている男たちが勝手に家に上がり込んでいた

ポセイドン、理不尽…。

なぜ基地の入り口で爆発が起こったの?

ジャガイモ栽培も軌道に乗り、生還の見通しが立った所での爆発事故でした。
いきなり基地の入り口が吹き飛び、ジャガイモ畑も壊滅的な被害を受けました。
なぜあんな事故が起こったのでしょう?

調べてみると、どうやら減圧装置の故障らしいです。

火星の地表は気圧が非常に低く、地球の1%以下です。そのままでは人間が過ごせません。そのため、基地の中では空気を補充して、十分な気圧を維持しています。

そのままでは、扉を開けるだけでものすごい勢いで空気が逃げてしまいます。そのため、外に出入りするときに減圧・加圧を行う「前室」をつくっておく必要があります。

映画で事故があったのはその前室でした。

主人公が外から戻ってくる

前室に空気が補充されていく

通常の補充時間を過ぎてからアラームが鳴りだす

1~2秒後に爆発

この描写から想像すると、機械の故障で規定量に達しても空気の補充が止まらなかったのではないでしょうか。

もちろん多少空気が多くなっただけでは大爆発には至りません。
しかし想定を越えて空気を入れすぎたせいで前室の一部が裂け、そこから一気に破裂してしまったと思われます。

なお自転車のタイヤのチューブも空気を入れすぎると同じ様に破裂します。しました。

空気圧は、適正に。

なぜ火星探索クルーをすぐに迎えにいかせなかったの?

それだけの燃料がなかったからです。

宇宙空間は真空状態のため、空気抵抗がありません。
そのため、エンジンを切っても、惰性でどこまでも進み続けます。

その性質を考慮して、火星探索クルーの乗る宇宙船には方向を転換し、再度加速するだけの燃料が積んでありません。燃料を宇宙空間に打ち上げるだけで、莫大な燃料とコストが必要ですからね。ギリギリまで節約しているのです。

宇宙船は、車や飛行機のように、自由に宇宙を飛び回れるわけではないんですねー。

映画の中では、数学の天才マヌーバの計算によって「地球の遠心力を利用すれば、燃料を使わず火星に行ける」と判明しました。劇中ではそれを使って救出したのです。

なぜジャガイモに鎮静剤をまぶしたの?

少しでもカロリーを節約するためです。

鎮静剤には、興奮を静めたり、心拍数を抑えたりする薬です。それだけで、わずかながら主人公のカロリー消費を下げる作用があると思われます。

また副作用で呼吸が遅くなること、眠くなることも報告されており、これも極限までカロリーを節約するためには有用です。

もちろんこれは望ましい使い方ではありませんが、命には代えられません。それくらい必死だったんですね。

個人的には、極限状態の主人公の不安を鎮静する作用も見込んでいたのかな、と思っています。

なお、手塚治虫の「ブラックジャック」にも、密閉空間で限られた酸素を節約するため、麻酔薬で患者を仮死状態にする…というエピソードが出てきます。(第一巻収録「閉ざされた三人」より)

なぜ主人公は、終盤体中にヤケド(?)をしていたの?

終盤、裸になった主人公の体にはあちこちにヤケドのような赤茶けた傷が見えました。
これは明確には説明がありませんが、3つの理由が考えられます。

1.ビタミン不足

長い滞在期間中、ジャガイモを中心とした偏った食事しかなかったため、ビタミンが欠乏していた可能性があります。
中でもビタミンCの不足は「壊血病」と呼ばれ有名で、肌荒れ、皮膚や粘膜からの出血、脱力、鈍痛等を引き起こし、原因の分かっていなかった大航海時代にはたくさんの犠牲者をだしました。

主人公の肌の荒れ具合は、壊血病にも見えます。

ただし原作では基地の中に十分なビタミン剤が備蓄されており、映画でもその設定を踏襲しているなら考えにくい説ではあります。

2.体の汚れ

貴重な水を節約するため、主人公は長期間シャワーを浴びない生活をしていました。
垢や汚れが蓄積してああなったとも考えられます。

…あんまり夢がある話ではないですね(苦笑)

3.紫外線

火星には大気の層がほとんどないので、太陽からの紫外線をモロに浴びてしまいます。これは本当に強烈で、もし生身であればたちまち全身にヤケド症状が出てしまうほどです。

もちろん、宇宙服や基地には十分な紫外線対策がされているはずです。しかし、さすがにここまで長期間の火星での活動は想定していなかったでしょう。
基地や宇宙服を考慮しても、地球よりずっと高い紫外線を浴び続けていたための「日焼け」と考えられます。

余談ですが、世界中をジーンズとTシャツで旅しているようなバックパッカーの白人にも、あんな感じの日焼け跡をした人が多い気がします。
彼らは皮膚にメラニンが少ないため、紫外線に弱いのです。

なぜジャガイモの葉っぱや茎を食べなかったの?

劇中、あれだけ深刻な食糧難に見舞われた割には、丸いジャガイモしか食べている様子はありませんでした。もっと戦時中の食糧難みたいに、葉っぱや茎を食べたりしなかったのでしょうか?

ジャガイモの芽には「ソラニン」と呼ばれる毒性物質が含まれているのはわりと有名ですね。今でもたまに食中毒が起こります。
また、芽だけでなく緑色の皮や、にも含まれています。

色々調べたけど葉っぱや茎に含まれているという記述はみつけられませんでした。
もしかしたら含まれていないのかもしれませんが、緑色の部分はヤバいと考えると、やはりリスクが高いですよね。
植物学者の主人公も当然その知識はあったでしょう。
もし当たっても医者とかいないし…。

実は食べていたかもしれませんが、そのシーンを映画で放映して、うっかりマネする人でも出たら大変です(笑)
その辺の大人の事情もあったのでしょう。

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