これがアカデミー賞作品賞?『アルゴ』受賞への不満と納得

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ARGO

うーん、面白くなかったとまでは言いませんが…。
正直言って、アカデミー賞作品賞には役不足です。映画を観てから作品賞って知って「え??」ってなったもん。

ここはしっかりと批評、批判したいと思います。


あらすじ

1979年11月4日、テヘラン。イラン革命が激しさを募らせ、その果てにアメリカ大使館を過激派グループが占拠し、52人もの人質を取るという事件が起きる。パニックの中、アメリカ人6名が大使館から逃げ出してカナダ大使の自宅に潜伏。救出作戦のエキスパートとして名をはせるCIAエージェントのトニー・メンデス(ベン・アフレック)は、6名が過激派たちに発見され、殺害されるのも時間の問題だと判断。彼らを混乱するテヘランから救出する作戦を立案する。しかし、それは前代未聞で大胆不敵、そして無数の危険が伴うものだった……。

Yahoo映画より

予告編

49点

■映画撮影のフリっていう売り文句がよくない

今考えたら、この映画への入り方もよくなかったかもしれません。
僕、実はこの映画をコメディーと勘違いしてたんです。
だってほら!「映画撮影のふりをした脱出劇」って触れ込みだったから!なんか面白そうじゃん!?

たとえば、昔『ウワサの真相/ワグザドック』って映画を観たことがありまして。
こいつは現職大統領のゴシップから世間の目を逸らすため、架空の戦争をでっち上げるというとんでもないストーリーを大まじめにやった映画です。

これがまた、捏造された敵国との戦いのニュースを観て「U・S・A! U・S・A!」と愛国心をバリバリ煽られちゃってるアメリカ国民とか、大統領のゴシップの内容がホワイトハウスで若い子と性的関係だったりと、ブラックユーモア炸裂の政治コメディでした。

『ウワサの真相/ワグザドッグ』はトランプの愚行を予言するか?
大統領のスキャンダルを誤魔化すために、戦争をでっちあげちゃおう! 合成映像と嘘ニュースで国民の目を欺こう!というギャグみたいな作戦...

あとは有名なところで三谷幸喜の『マジックアワー』も好きです。
これも映画撮影だと嘘をつき、映画俳優に殺し屋のフリをさせるというコメディの傑作でした!あれは笑ったな~。僕は三谷幸喜の作品の中でこいつが一番好きです!
「いくぞナベさんッ!!」のシーンが面白すぎる(≧▽≦)

そんなわけで、今回も「ニセ映画撮影」なんて楽しそうなキーワードなもんだから、そんなコメディを期待しちゃったんですよねー…。

いや~、完全に期待のあげかたを間違えました!
いや、もう、想像以上にまじめな作品でね。「あー…こういう映画ねー…(´▽`;)」と無駄に愛想笑いしちゃいましたよ。誰に愛想振りまいてるんだ。

もう、みんな本当に命がけでね!ピリピリしててね!
なんかごめん。

それにしても、この映画観て思ったんだけど、トンデモ設定に命をかけるのって、実際にはかなり悲壮感漂うんですねー。
そりゃそうだわな…。
俺だったら泣いちゃうな…。

■「実話」っていう売り文句もよくない

実際には緊迫感のあるサスペンスとして、なかなか面白かったですよ!
イラン国内の暴徒の描写は遠慮がなく殺気立ってるし、失敗したらリンチくらいじゃ済みそうもありません。まず間違いなく殺されます。吊されます。ギャグ映画なら次のシーンで復活するだろうけど、そういう雰囲気じゃなさそうだし。
そして脱出する職員からも「こんな作戦やってられるかー!」という至極もっともな意見が噴出するし…。
心中お察しします。

なによりまず、どんだけ準備を万端に整えても、肝心の計画の信頼性が頼りなさ過ぎですよね。
だって映画撮影だよ?すごい目立つじゃん。
CIAはなんでよりによってそんな怪しげな脱出計画にしたんだろう…コメディ映画ならともかく、これ実話だぜ…

ただなー、この「実話だった」ってのもまたガッカリポイントなんですよ…。
別に僕、実話を元にした映画も好きですよ。
ノンフィクション系の映画はむしろ好物と言ってもいいくらいですし。

ただこの映画の場合、積極的に「史実」で売ってるくせに、中身はそうでもないってのがどうも気に入らないんですよね…。

バザールに見学に行くシーンだとかを追加したり、脱出の際の緊迫感溢れるシーンを脚色したりとかは演出としてわかるんですよ。エンターテイメントだもんね。

ただ、脱出の際の緊迫感だとか、中止命令を無視して強行するくだりだとか、映画の面白味の核となる要素まで創作しちゃうってのはちょっと違うと思うんですよ…。

売り方の問題かなあ。
この映画では実際の事件の写真とか映像を駆使して、いかにも「事実でございます!」って売ってるもんだからイラッとしちゃったのかなあ。
別に言わなきゃ素直に騙されてあげるのにね!
世の中そういう暗黙のお約束ってあるでしょ!
激安弁当の原材料とか!アイドルの彼氏いない設定とか!

■そもそも“作品賞”のレベルだろうか

アカデミー賞作品賞って、アカデミー賞の中でも最重要部門なんですよ。
言ってしまえば、その年一番いい映画だという証拠のようなものです。

いやー…、さすがにそこまでの名作だとは思えないなぁ…。

ではこの映画が受賞した、第85回の作品賞にノミネートした、別の作品をみてみましょう。

  • ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~
  • ジャンゴ 繋がれざる者
  • ライフ・オブ・パイ 虎と漂流した227日
  • リンカーン
  • レ・ミゼラブル
  • 世界にひとつのプレイブック
  • ゼロダークサーティ

ふーむ…
こうやって並べてみると、どれを選ぶかは難しいですね…。

個人的にはライフオブパイが好きですねー。
映像美と言い、心に残るストーリーといい、名作と言っていいと思う。ただまあ、一瞬で全てをひっくり返したクセのある展開は、万人には受け入れられないかもしれません。

暴力的な要素の多い映画も受賞には微妙だし、レ・ミゼラブルは嫁が大好きだけど、なぜだか僕は心を動かされなかったんだよなぁ…(・ω・)

こうやって考えてみると、実力はそこまでだったけど「本命不在の年」だったから受賞できたんじゃないでしょうか。他の年だったら絶対無理ですよ。
ちなみに次の年は『それでも夜は明ける』、前の年は『アーティスト』だぜ!
やはり名作が受賞しています。

なぜ受賞したか考えてみた

いやー、でもさすがにアカデミー賞の審査員もバカじゃありません。この映画が面白いと思ったから、票を投じたわけでしょうし…。

しかしアカデミー賞についてwikipediaで調べていたら、こんな記述を発見しました。

アカデミー賞はハリウッドの映画関係者が選考を行うことから、各賞の選出については、アメリカの国情や世相などが色濃く反映され、必ずしも芸術性や作品の完成度の高さでは選ばれない。例えばカンヌ国際映画祭などの著名な国際映画祭で大賞を受賞した作品が、アカデミー賞ではノミネートもされないことが多いのは有名。

wikipedia 「アカデミー賞」より

ああ~なるほどな~(苦笑)
これ、まさにこの映画のことじゃないですか!

たしかにイランの人質事件って、アメリカ人にとったらすごく関心の高い話題でしょうからね。この映画観たくなる人も多いと思います。
僕は正直「へー。」ってぐらいでしたからね。

逆に、松下幸之助のドキュメンタリーだとか、神戸の少年Aの事件だとかをアメリカ人にみせても、どうでしょう。そこまで関心を持ってもらえず「へー。」って言われちゃう気がします。

そしてなによりこの映画は完全にハリウッド映画界をネタにした映画ですから。
毒舌プロデューサー(なんと助演男優賞までノミネートしてます。冗談だろ?)、脚本権利のやりとり。そして自分たちが協力したことで人質事件が解決をみたという誇らしさ!
いや~、たしかにこれ、内輪の人間にはたまらない面白さがあるのでしょうね。

だからって賞をあげちゃうのはどうかなーとおもうけど、アカデミー賞はそういう性格の賞として何年も取り組んできたのだし、そこは尊重すべきなのでしょうね。

つまりこの映画がアカデミー作品賞を受賞したのは、一番すばらしい映画だからじゃなくて、ハリウッド関係者のアメリカ人が一番気に入った映画だからなんですね。

そういうことなら、まあ、いっか。

https://hibino-cinema.com/academy/

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