監督、プロデューサー、製作総指揮、製作委員会は具体的にどんな仕事をしており、一体だれが偉いのでしょう。
映画製作に携わる仕事の解説一覧です。
あなたはいくつ説明できますか?(笑)
目次
- 監督
- 製作・プロデューサー
- 製作委員会
- エグゼクティブプロデューサー、製作総指揮
- 監督とプロデューサーと製作総指揮は誰が偉いのか
- 助監督(AD)は実はエラい
- 総監督
- 脚本家
- 原作
- 配給
- 編集
- スタジオ
- 撮影所システム
- 制作と製作の違い
監督
現場で最終的に「OK」「NG」を決定するのが映画監督。
映画の出来に直結すると言ってもいい、一番重要なポジションです。
難しく言うと、「作品としての品質を追求する」責任者。
俳優の演技に注文を付けたり、カメラワークを指示したり。専門的なスタッフのアイデアをくみ上げ、1つ1つについて吟味し、採用したり却下したりを決断します。
英語では「ディレクター」。
なお、映画製作では「演出」も監督と同じ意味で使われます。
製作・プロデューサー
映画を作るために「人」や「金」を集める仕事をする人です。
たとえばあなたが素敵な脚本を書き上げ、「これを映画にしたい!」と思った時、どうすれば一流の俳優を揃えられるでしょう?
メイクや撮影などの裏方さんは?そのお給料はどうやって払う?
それらを集める役割を担うのが、「映画プロデューサー」です。
自分の人脈を活かして個人でプロデューサーとして活躍する人もあれば(ブラッドピットやシルベスタースタローンなどが有名ですね)、大きな「映画製作会社」もあります。
監督や俳優、スタッフたちの契約料など、巨額の映画製作費を負担するリスクはありますが、うまく映画が当たれば大儲け。
さらには「次は自分をキャスティングしてほしい」とハリウッドスターたちが親交を深めに来るため、非常に華やかな毎日を過ごせることになります(笑)
まさに、映画プロデューサーは一攫千金!夢のある職業ですね~
製作委員会
映画製作は、ヒットすれば多額の利益がもたらされる一方、失敗したときのリスクも莫大です。(現実に、製作した映画がコケたせいで経営危機・倒産へと追い込まれる企業は少なくありません。)
そこで、リスクを軽減するため、何社かで資金を出し合い、利益も分配するために産まれた日本独自の方式です。
『風の谷のナウシカ』や『AKIRA』で有名になり、日本ではメジャーな手法になりました。
資金面で映画製作のハードルを下げることで、多くの邦画を産み出すのに貢献してきました。
一方で、多くの会社が出資するため「責任が曖昧になる」「利益重視・一般受けに走りがち」「作品の個性が出にくい」との批判もあります。
なお、映画製作費用の賄い方は各国で違いが大きいです。
英語圏なら世界中に販売することで利益を回収し、
韓国なら日本に近い「ファンド式」、
フランスやヨーロッパでは国からの補助金が充実しています。
インド映画は国内だけで12億人のインド人がいるから大丈夫っていう。
製作総指揮、エグゼクティブプロデューサー
何してるかよくわかんないポジションNo1。
実際、基本的に「何をする人」と決められているわけではありません(笑)
映画製作権を持った人がクレジットされる場合が多く、監督やプロデューサーよりも上位にあたります。
大物映画監督が、若手の有望監督のパトロンとして資金と作品を用意してあげる場合もあります。
巨匠のもとには魅力的な脚本が集まるけど、自分が撮れるのは1本のみ。
他の候補を捨てるには惜しいので、資金やコネの乏しい若手に与えて撮らせてみる、なんてケースですね。
例1:スピルバーグによる「製作総指揮」
キャスパー
ディープインパクト
シュレック
ディープインパクト
ジュラシック・パークII、
ジュラシックワールド
メン・イン・ブラックシリーズ
トランスフォーマーシリーズ
リアル・スティール
例2:スターウォーズと「製作総指揮」
エピソード4とエピソード1はジョージ・ルーカスが「監督」でした。
しかしそれ以外は全て他の人が「監督」をし、ルーカスは「製作総指揮」に回っています。
エピソード1で監督に復活したものの、またも制作総指揮に回っていますね。
なお、同じ製作総指揮という肩書でも、
映画制作を全面的に指揮している場合もあれば、
「後見人」のような感じで若い監督の意見を尊重し、現場には一切口出ししない人もいます。
(ハリウッドでは前者が多く、ヨーロッパや日本では後者が多いそうです)
また日本では「エグゼクティブ・プロデューサー」を単に「複数のプロデューサーの中の筆頭者」という意味合いで使うこともあります。
ややこしいポジションなのです(笑)
監督と、プロデューサーと、エグゼクティブプロデューサーは誰が偉いのか
一応肩書き上は エグゼクティブ > プロデューサー > 監督 の順でエラいと言えます。
プロデューサーが雇い主で、「監督」「撮影」「美術」「編集」など各部門担当が雇われている形になります。
そのためアカデミー賞の最重要賞である「作品賞」はプロデューサーが受けます。(僕はずっと映画監督がもらう物だと思ってました)
ただし、監督がプロデューサーを兼任したり、エグゼクティブは実質名前だけだったり、プロデューサーが監督の意思を尊重して口出ししなかったりと、実際は状況により様々です。
助監督(アシスタントディレクター)は実はエラい
映画における助監督AD(アシスタントディレクター)は、テレビのADとは大きく異なるので注意。
映画の助監督は、監督と各部の橋渡し的な役割、スケジュール作りや、現場の進行等の業務のスペシャリストです
一言にスケジュール作りと言ってもありとあらゆる調整をこなさなくてはならず、
助監督の腕次第で、現場がうまく行くことも破綻することも。
現場の要とも言える重要な立場です。
(演劇の「舞台監督」をイメージするとわかりやすいかも)
映画界では「映画監督は素人でもできるが、チーフ助監督は素人にはできない」との格言まであるほどです。
現に新人監督が映画を撮る場合、助監督の方がギャラが高かったり権限が強かったり、
またエグゼクティブプロデューサー兼助監督などという兼務があったりします。
助監督の多くはフリーで活動し、作品ごとで制作会社と契約しています。
ちなみに、いわゆる弁当の準備や車両の出し入れといった雑用は「制作部」の仕事であり、映画の助監督はしません。
何度も言いますがテレビのADとは違う、現場進行のスペシャリストなのです。
余談ですが、映画『CASSHERN』でいろいろと物議を醸した映画初監督をした紀里谷氏は、日本映画界の慣習に反発しまくり、アドバイスしてくれる助監督を次々とクビに。
結局なんと七人もの助監督を使ったそうです…。
ロックだぜ…。
その他、映画づくりの役職名
編集
撮れている映像から必要なものを抜き出して繋ぐ仕事です。
監督によっては、簡単な指示を与えて編集担当者に全面的に任せる場合も、細かく指示を出す場合もあります。
アメリカのようにプロデューサーが編集に関わり、監督に編集権がない(!)場合まであります。
総監督
日本独自の用語です(笑)
明確な定義はなく、エグゼクティブプロデューサー(製作総指揮)のような立ち位置の人もあれば、実質監督として各スタッフに指示を出す場合もあります。
脚本
脚本家はストーリーを映画用に修正する人です。
よく勘違いされますが、物語を考える人ではなく、映像に置き換えたときの物語の流れを考える人ですね。
もちろん、オリジナル脚本であれば物語も考えます。
原作
原作者はそのまま原作を提供する人。
「自分の作品だから」と製作に関わる場合もありますし、ノータッチの人もいます。
配給
映画作品を完成させるまでが映画製作であり、映画館で上映するのが映画興行。その間を結ぶのが映画配給です。
国内外の製作会社から映画を買い付け、各映画館に販売します。
映画の宣伝のためにCM、ポスター、予告編をつくるのも配給の仕事です。
スタジオ
広い意味で「映画をつくる場所」を指します。「撮影所」とも言います。
映画を撮影できる建物群(舞台となる部屋・建物・建物群や、裏方用のサウンドステージ・事務所・倉庫・バックロットを含む)を指す場合もあれば、
映画の製作・宣伝・配給を手掛ける会社を指すこともあります。
なお、狭い意味で下に述べる撮影所システムを指す場合もあります。
撮影所システム
かつて(1930~1960年代)の日本で一世を風靡した映画製作体制です。
監督以下のスタッフ、スター俳優、端役に至るまで全て映画会社と専属契約していて、なおかつ監督ごとにスタッフが固定しているのが特徴です。
そのため、高いクオリティの作品を安定供給できる利点がありました。
しかしテレビの台頭で観客動員数が激減し、専属契約が維持できなくなったため衰退していきました。
制作と製作の違い
なお、映画界では制作と製作を使い分けています。
「製作」はキャスティング、資金の準備などを含んだ「映画をつくる」すべての作業を含みます。
「制作」は撮影現場で映画を撮影する事。あまり使われません。
まあ、けっこう混同されて使われているのですが(笑)
コメント
[…] ヒビノシネマ|監督、製作総指揮、エグゼクティブプロデューサー、プロデューサーの違い/映画の役職まとめ […]
例2:スターウォーズと「製作総指揮」について
>エピソード4~6とエピソード1はジョージ・ルーカスが「監督」でした。
となっていますが
ジョージ・ルーカスは、エピソード5と6の監督をしていませんよ。
わ!勘違いしておりました!ありがとうございます!!!