「グレイテスト・ショーマン」を島田紳助で考えたら低評価の理由がわかった

映画「グレイテスト・ショーマン」はアメリカでも日本でも大きな人気を呼んだ作品ですが、実は批評家からは酷評される作品でもあります。

海外の有名映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では10点満点中6点と賛否両論。

同じく「Metacritic」では100点中48点と、やはり低評価でした。

 

一方で一般人にはわりとウケがよく、一般ユーザーの評価を集積する「IMDb」では星10個評価の★7.6とまあまあの好評価。

日本の「Yahoo映画」でも五つ星評価で★4.2を記録しています。

 

僕にとっても大好きな映画のひとつです。

パワフルな音楽とダンスに心躍り、そして最後のささやかな幸せな描写にじんわりと暖かい気分に浸れます。

 

一般人には評価される映画なのに、なぜ批評家からは酷評の声が聞こえるのでしょうか?

それには三つの理由があるのです。

 

本来バーナム氏自身が賛否両論

主人公のP・T・バーナム氏は実在の人物です。

でも、日本人にはちょっと馴染みの薄い人物で、この映画で初めて知ったという人も多いでしょう。

しかしアメリカでは「サーカス」というアイデアを世にもたらした伝説的な興業師として有名で、LIFE誌が1999年に選んだ「この1000年で最も重要な功績を残した人物100人」の中にも選ばれています。

この100人の中にはガリレオ、エジソン、コロンブス、ニュートンといった偉人たちが肩を並べていて、いかに彼が評価されているかがわかります。

(ちなみに日本からのエントリーは葛飾北斉ただ一人。)

 

それだけ偉大な人物ではあるのですが…、

「結局はお金目当ての山師」

「身体障害者をさらしものにしてお金を稼ぐ人物」

「人魚の死体など、インチキ興業も多い」

などなど、批判が絶えない面もあるのです。

 

この映画は、そんなP.T.バーナム氏を徹底的に美化して描いています

多少は彼の短所も描いていますが、「反省したからOK!」「それでもみんなバーナムを愛してるぜ!」と物語の味付け程度です。

 

多くの日本人のように、彼について何も知らなければ素直に楽しめます。

しかし、彼に対する前知識があるほど拒否反応が出てしまうのでしょう。

 

偉大な功績と批判を併せ持つ人間を主人公にしたら、バッシング受けるねん…

 

フリークスの扱いはデリケートな問題

この映画は多様性をテーマに描いています。

フリークスとして社会からつまはじきにされ、身を潜めて生きるしかなかった身体障害者たち。

彼らを愛し、居場所と自信を与えたことは、たしかに賞賛されるべきです。

 

彼らを通じて、「どんな人間でもありのままを尊重されるべきだ」という熱いテーマを奏でてくれました。

見られることを 恐れないわ
謝ったりしないわよ だってこれが私

 

…ただ、生まれつきハンディキャップを抱えた人の問題は、とっってもデリケートなんです。

 

主人公は美しい歌姫に心奪われ、サーカス団員たちを蔑ろにしてしまいました。

映画の中の本人たちこそ「あなたは居場所を作ってくれた」と簡単に許してくれました。

しかし、一度不快感を感じた観客まで「そうだネ!」と同調してくれるとは限りません。

 

ただでさえバーナムは「身体障害者を見せ物にしてお金稼ぎをしていた」と批判される人物です。

むしろあの和解シーンは「サーカス団員自身は納得してたんだよ!」という開き直りのように取られてしまい、マイナスの印象すら与えてしまうのです。

 

本人は納得してるし愛されてるからいいんです!

 

映画批評家の怒りを買った

映画の中に劇評論家が登場しますが、P.T.バーナム氏は彼を徹底的にバカにします。

そのくせ、彼が一つも謝罪や反省をしないままに、劇評論家が「参りました」とばかりに白旗を振って友好的になるのです。

 

こんな描写をみせられたら、映画評論を生業にする人間は腹が立つに決まってます。

自分が評論家だったら、それ以降この映画の悪い部分ばかりが目についてしまいそうです…

 

たとえばですが、もしもこの映画がネット民やオタクを散々馬鹿にした映画で、そのくせ映画の中でオタク達に「あなたたちのサーカスは本物だった!ごめんなさい!」と謝罪させたりしてたらどうでしょう

とてもネット界隈でのヒットは見込めないはずです。

 

この映画はそれを評論家に対してやってしまい、そしてボコボコにされたのです…

 

たった一つの単純な答えだ…

 

まとめ

要するに「グレイテストショーマン」が批評家にヒットしなかったのは、こんな例えをしてみると理解できるかもしれません

島田紳助が若手芸人やスタッフを搾取して番組を成功させ、馬鹿にしていたネット民やオタクからも謝罪される、そんな物語。

 

…どれだけクオリティ高くても、反感を買いそうだとわかりますね(^^;

P・T・バーナム氏を美化し、

団員への適切な敬意を忘れ、

批評家をバカにしてしまった。

どれもがマイナスポイントだったのです…

 

どれも物語の展開上仕方ない部分もあるのですが…

いい映画なだけに、惜しい話です。

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