『カフェソサエティ』題名の意味を徹底的に考察すると映画の深みが増す

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まず、『カフェ・ソサエティ』という単語の意味から解説しましょう。

これは別にウッディ・アレンの造語ではなく、ジャーナリストが1930年代の上流社会の社交界を表現した言葉です。

英語版wikipediaをみると このように書いてあります。

Café society was the description of the “Beautiful People” and “Bright Young Things” who gathered in fashionable cafés and restaurants in New York, Paris and London beginning in the late 19th century.

訳:カフェソサエティとは、19世紀終わりに始まった、ニューヨークやパリやロンドンのファッショナブルなカフェやレストランに集う“美しい人々”や“将来有望な若者達”のことである」

つまり、夜な夜な洒落たレストランやクラブで繰り返される、セレブたちの社交界のことです。

さらにwikipediaの著述によるとこんな感じだったそうです。

メンバーはお互いのプライベートディナーやレクリエーションに参加し、エキゾチックな場所やエレガントなリゾートで休暇を取りました。
米国では、1933年12月の禁酒法の廃止とフォトジャーナリズムの台頭により、カフェ社会が前面に出て、ーー特に映画スターやスポーツ有名人は、レストランやナイトクラブで楽しそうな半公開のパーティーを行う傾向がありました。

例えるなら、現代の「ヒルズ族」や「パーティー好きの芸能人」でしょうか。
いつの時代でも、上流階級にとって交流を広げたり深めたりはとても重要なのでしょう

ただし、この“カフェソサエティ”には大きな特徴があります
それまでの貴族的な社交界と違って、『気楽に出入りできる』ことです。

今までは社交界は“豪華な館の晩餐会”のイメージされるような、言わば新参者を拒む会員制の集まりでした。なにせ個人宅で行われますから、招待状がない成金は門前払いです。

ところが、新しい社交界の舞台はレストランやカフェ。
会員制を謳う店ももちろんあるでしょうが、基本的には上流階級なら誰もが参加できます。好きな店に赴き、隣のテーブルに話しかけ、もちろん気が向かなければその店に行くのをやめてもいいのです。

つまり今までの社交界と違い、煩わしい人間関係なしに、出会いと会話を楽しめるのです。

カフェ・ソサエティのイメージ

僕ら日本人は“カフェ・ソサエティ”という単語を聞いても、ほとんどの人はなんのイメージも沸きません。しかしアメリカ人、特にウッディ・アレンのような歳を重ねたニューヨーカーにとっては別です。

“カフェ・ソサエティ”は彼らにどのようなイメージを引き起こすのでしょうか。

そしてウッディ・アレンはこのタイトルにどのような意味を込めたのでしょうか?考察してみましょう。

きらびやかさ

「上流階級の社交界」という意味をシンプルに考え、まず頭に浮かぶのが「きっときらびやかなんだろうな」というイメージです。日本版ポスターなんかがまさにそれですね。

素敵なドレス、美しい女性、洗練された華やかな内装。こういったビジュアル面を味わうのも映画の魅力のひとつです。
この映画はそんなきらびやかな世界を舞台にしていますよ、と一言で伝える事が出来るのです。

“かつての”というノスタルジー

カフェソサエティは華やかな社交界ですが、上流階級を席巻していたのは1930年代前後。つまりすでに過去の遺物になってるわけです。

ところが面白いことに、今は無き時代にこそ逆に魅力を感じる、という現象も起こりうるのです。「レトロでオシャレ」だとか「ノスタルジーをかきたてる」なんて言って。

きらびやかさの印象と合わせて、映画のビジュアル面に対しての期待をかきたてられちゃいます。

そしてウッディ・アレンはこの辺りの古き良き時代をオシャレに描くことにかけて抜群の才能を発揮します。

1920年代のフランス社交界を描いた『ミッドナイトインパリ』

1930年代のブロードウェイを舞台にした『ブロードウェイと銃弾』

1930年代のニュージャージー州をを描いた『カイロの紫のバラ』

彼の代表作はこの時期を描いた作品が非常に多いです。

そのため『カフェ・ソサエティ』と言うタイトルひとつで、「おっ!ウッディ・アレンお得意のあの時代だな!」と期待が持てるわけですね。

大人の恋の香り

社交界という言葉の響きには、恋の香りが欠かせません

成功した紳士と美しい女性が、ジャズの生演奏をバックにお酒を飲み語り合うのですから、恋に落ちないはずがありません。

もちろん社交界には既婚者や恋人もちもいるでしょう。

それでも【好きになっちゃいけない相手】を好きになってしまうことだってあるのが、恋の厄介で面白いところです。(もちろん不倫はよくないですが)

「カフェ・ソサエティ」という洒落た言葉を聞くだけで、魅惑的な恋の香りがプンプンしてきませんか?

大人な振る舞い方

社交界に存在するのは、大人です。

年齢的にも、社会的な成功でも、立派な方ばかり。

また個人宅で行われる“豪華な館の晩餐会”と異なり、カフェソサエティの舞台はカフェやレストラン。以前までの社交界よりも人目のある、公共の場所なんです。

ですからそれまでよりずっと“立派な大人”な立ち居振る舞いが要求されます。たとえ恋に落ちても、別れた後でも。

「会わない方が良いんじゃないからしら
会うと感情がかきたてられ夢を見てしまう きっとあなたもね

…夢は夢よ」

映画の中でも、彼らは大人らしい振る舞いで別れました。

でも、あのラストシーンを観ると、やっぱりクールになりきれない心情が見てとれます。

大人らしく振る舞わなきゃいけない。でも、大人にはなりきれない。
そんなほろ苦さを感じますね。

まとめ

どうだったでしょうか。

“カフェ・ソサエティ”、こうやって考察してみると、上品で洗練されており、恋の香りがして、どこか切ないタイトルに思えてきませんか?

“カフェ・ソサエティ”という単語だけで雄弁にイメージを伝えられるからか、欧米版のDVDパッケージはこんなにもシンプルで上品だったりします。(単純にシンプルなデザインを好むせいもあるでしょうけど)

意味を考えるって、面白いですよね。

きっとこれからは「カフェソサエティ」というタイトルをきくだけで、どんな映画か思い出せるようになっているはずです!(笑)

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