主人公の親友ネッドは校長先生に一目惚れしてしまい、猛烈なアタックをするのですが、あまりにセンスの悪い言動に心底嫌そうにされてしまいます。
ところが、ネッドがあるセリフを吐いたことをきっかけに、いきなり転機が現れました。
「僕は普通に振る舞えない。」
「そうね。」
「僕は馬鹿なんだ。私は『二つの塔』の灰色のガンダルフの杖に10,000ドルも払ってしまうような人間なんだ」
「そうね、馬鹿だわ。」
「……」
「…なにしろ、灰色のガンダルフがでてくるのは『旅の仲間』だけだもの。彼は『二つの塔』で白のガンダルフとして戻ってくるのよ」
「!!!」
そして彼女は不思議な言葉を囁きます。
いったいこのシーンは何だったのでしょう?
気付いた方も多いでしょうが、二人が話しているのはあの有名な『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』のことですね。
ガンダルフとはこの映画にでてくる魔法使いのおじいちゃんです。
中央の右隣のじいちゃんがガンダルフだよ!
日本にいると映画しか知らず、ちょっと理解しにくいかもしれませんが、指輪物語は海外で非常に幅広い人気を誇り、また熱狂的なファンを持つ作品です。
1960年代においてはちょっとした社会現象といえるほどのブームとなり、その後も高い人気を誇っています。売り上げにおいても読者の満足度においても、さまざまなアンケート調査において20世紀を代表する小説にあげられるほどの存在です。
そして、直後に校長先生が囁いたのが、指輪物語の世界で話されている架空の言語『エルフ語』です。
実はこの作品、ファンタジーの古典的名作というだけでなく、架空の言語“エルフ語”でも有名なんです。
もともと作者のJRRトルーキンの専門は文献学、言語学で、架空言語づくりが趣味。
それどころか“言語には、背景となる歴史が必要だ”との考え方から自ら考案した「エルフ語」のためにエルフの歴史を創作し、その一環として“指輪物語”をつくってしまったのです!本格的!!
そんなわけで、トルーキンの創ったエルフ語はかなりしっかりつくられており、その気になれば会話を交わすことも可能。エルフ語での会話は、マニアの間では一度はやってみたい知的な遊びなのでしょう(笑)
劇中でもこんなくだりがありましたね。
「サラダは?(エルフ語)」
「おいしいわ、ルッコラが新鮮で。エルフ語はどこで?(エルフ語)」
「通信教育で(エルフ語)」
「それで…どっちの家でする?(エルフ語)」
「……お勘定して!」
日本でも文献学が専門の大学教授が参考書をだしております。あなたもエルフ語で会話してみましょう(笑)