僕「まあ、詳しい解説が必要なほど難解な映画って訳でもないけれど、ちょいちょいよくわかんないところがあったね」
嫁「うん、そこまで気にならないけど、冷静に考えたら『そういえば、どういうことなんだろ?』ってところがある」
僕「そのへんを気にせず楽しめる勢いの良さこそ、この映画の魅力でもあるんだけどね」
彼女は恋人だったのか?
僕「まず一個目。時々フラッシュバックで現れる、妻役の女と抱き合ってるシーン。」
嫁「何度もでてたよね」
僕「これ、冷静に考えたらおかしくないかな?だって二人は偽物の夫婦なんだから」
嫁「記憶を失う前、現実世界でも恋人同士だったってことじゃないかな」
僕「社内恋愛(?)やね。恋人同士でなくても、体の関係を持っていたのは間違いなさそう」
嫁「あと、写真展でキスして、『愛している』とか言ってたよね…。彼のこと、本当に好きだったんじゃないかな。女は体だけの関係とか、結局できないんやで!」
僕「なんかやけに感情こもってない…?(--;」
※折角なのでその時のやりとりを書き起こしてみた
「何の用」
「どうした」
「私に構わないで」
「なぜだ なにがあった 奴らに脅されているのか?」
「なぜここへ?」
「君が広告をみつけてシカゴで見たと 僕とね 忘れたのか?」
目をそらし場所を変えるリズ「逃げられない」
「行こう
「ダメよ 殺されるわ」
「君を一人にしたのが間違いだった」
「わかってないのね」
「あなたはカバンを取りに空港へ戻ろうとしたの
カバンを探して
私も空港へ」
「待ってくれ」
抱き寄せてキスをするリズ
「愛しているわ」
立ち去るリズ
僕「うーん。こうやって見直すと、やっぱり俺には空港の忘れ物(カバン)を回収させるための小芝居に思える」
嫁「彼女が嘘をついてたってこと?」
僕「うん、『アイツ記憶失ってるみたいだけど、妻のフリすれば言うこと聞くだろ。妻のフリして誘導してやろうぜ』って。」
嫁「うーん、そうかも…」
僕「あのカバンの存在は計画が露呈する危険要素だったから、なんとか回収したかったんじゃないかな」
嫁「うーん…」
僕「つまりあのキスは、恋人としてのキスでなくて、誘導するためのキスなんだ!女って怖い!」
嫁「でも、あの場に彼が来る確証はなかったでしょ?」
僕「映像を観る限り、彼女の機転に思えるけどな…」
彼女はいつ異変に気づいた
嫁「私がよくわからないのは、立体駐車場でロドニー・コールが言った『彼女は君の異変に気づいて代役を立てた』ってセリフ。」
僕「あ、そこは俺も気になった」
嫁「事故はともかく、記憶失ってることが彼女はどうやって知ったんだろ?気がついてすぐホテルいったら、もう代役がいたよね」
僕「あれはきっと、誤訳とまではいかないけど、細かいニュアンスの訳し方じゃないかなぁ」
嫁「どういうこと?」
僕「きっと本来は『彼女は君がトラブルにあったと思い代役を立てた』ぐらいの意味で、自動車事故、あるいは急に連絡が取れなくなったことを指してたんじゃないかな」
嫁「あーなるほど」
僕「『異変に気づいた』って訳しちゃったから記憶喪失をさしてるように思えるんじゃないかと」
嫁「それはありえるね」
僕「まぁ、そう思って英語を聞き直してみたんだけど、これが全然聞き取れなくて」
嫁「日本の英語教育って役に立たないのよねー」
じいちゃんはなぜ気づいた?
僕「一番ややこしいのが、探偵のおじいちゃん・ユルゲンのくだり。実は俺、頭の中でうまく整理できていない」
嫁「あれはさ、おじいちゃんがロドニー・コール(恰幅のいいハゲ)と電話した後『…ロドニー・コール?…ライプツィヒ?』って呟いてたでしょ?」
僕「あ!呟いてた!」
嫁「きっとあれで気づいたのよ。昔聞いたことがあったから。」
僕「そっか!もともと探偵さんは東ドイツのスパイだもんね!現役の時に凄腕の暗殺者集団のメンバーの情報を把握しててもおかしくない!」←スパイへの謎の信頼感
僕「そうそう、記憶の底にロドニー・コールの名前とライプチヒ在住って情報があって、それで暗殺者集団“セクション15”が陰で糸を引いてることに気づいてしまったんだと思う」
僕「とんでもない虎のしっぽを踏んでしまったと気づいたはいいけど、そのまま部屋で待ってたのは『“セクション15”から逃げられるかね?この老いぼれが』…ってことか」
嫁「だから自殺をはかったのね…」
僕「生きてたら情報を吐かせるために拷問されて、口封じに殺されるだけだもんね。元東ドイツの秘密警察だったら、当然そう考えるんだろうな」
嫁「ひと思いに死んだ方が幸せよね…」
僕「あるいは、ひとかけらの正義感とか、『一杯食わせてやったぜ』って気持ちがあったのかも。
ただ、部屋に入った当初は、『高級ブランデー』やらコーヒーを勧めてるし、もしかして返り討ちにしようと思ってた可能性はあるね。どちらも断られちゃったけど。」
黒髪の女
僕「あと一個わからないのが、黒髪の女性」
嫁「え?」
僕「回想で “Are you ready?”って言ってる黒髪の女性いたじゃん。彼女も仲間だったのかな。一体どこいったのか…、彼も主人公と関係を持ってたようにも見えるけど…」
嫁「え…気づいてないの…?あれ妻役の女の人だよ?」
僕「え?」
嫁「カツラか染めたかで、髪型変えてるだけじゃん」
僕「………」
嫁「…相変わらず、髪型変えただけで識別できなくなるんやね(ため息)」
僕「………」
コメント
全くくだらないアクション・ミステリー映画。
暗殺者が、殺人というミッション遂行のために植物学者になりすましていた・・・。
が、交通事故の衝撃により、暗殺者の記憶が喪失し、代わりに、架空の植物学者を演じるために暗記していた「仮想の記憶」が暗殺者の頭脳を占拠する。
で、暗殺者は「仮想の記憶」がリアルだと勘違いしてしまうという「荒唐無稽ストーリー」なのだ。
しかも、交通事故の衝撃により、暗殺者の人格は仮想植物学者の人格に取って代わり、逆に暗殺を阻止する側に回るという展開に・・・。
暗殺者という悪玉が仮想学者という善玉へと、なぜか人間性まで変容してしまう、実に「ハチャメチャなストーリー」なのだ。
最後の一行、まさに的を得てますね!なんで性格まで変わってしまったんでしょう…(笑)
個人的には、ハチャメチャさこそ味というか、荒唐無稽だけど楽しめたからいっかー、という映画かなと思います。嫁とポップコーンつまみながら観る分には十分。