デッドプールはずるいんです。
A級映画並の潤沢な資金を使っておきながら、「ギャグのくだらなさ」「下品」「バイオレンス」「ハイテンション」を前面に押し出し、自分B級映画でいいですわ~と言わんばかり。
だから「アクションのスタイリッシュさ」「ストーリー性」「感動」といったA級っぽい土俵では多少レベルが低くても、まぁなんとなく苦笑しながら満足してしまうんですよね。ずるい。
実際のところ、アクションはけっこう楽しかったし、ヒロインとのやりとりも、なんか好感が持てたんですが。
しかも禁じ手の観客イジリまで「そういうキャラだから」という理由で許されてるし。
アレです、学年に一人はいる、「ふざけ役で愛されてて、色々許されちゃう」おいしいポジションの子!
ズルいですよね。ホントずるいですよね!!
あらすじ
ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、以前は優秀な特殊部隊の傭兵(ようへい)として活躍していたが、今は悪者を気まぐれに痛めつけては金を稼いでいる。すっかり正義のヒーロー気取りの彼は恋人との結婚も決まり幸福の絶頂にあったが、いきなり末期ガンだと診断される。とある組織にガンを根治できると聞いたウェイドは、彼らに同行して人体実験を受ける。
バイオレンスさについては苦手な人もいるし、諸刃の剣っぽいとこもあるけれど、この映画の戦闘シーンではきちんとギャグとして機能してたと思います。
斬られた首がぽーんと飛んでく放物線、道路標識に激突してべちゃん!と潰れちゃう雑魚キャラなんかには思わず「フフッ」と笑ってしまいました。楽しかった!(ひどい)
普段のヒーロー映画ではこういう描写は当然御法度なんですが、たまにはこういうのいいですなー。悪い奴らがコミカルにひどい扱い受けてるのってスカッとしますよね?ね?
…はなはだ不謹慎で残酷ではあるんですけど。フィクションなんで大目に見てください。
ちなみに、バイオレンスシーンは山盛りだけど、「痛そうな」シーンは少ないです。安心安心。客層に配慮しつつさじ加減を決めたんですねー。
僕も、痛そうな描写は苦手なので助かります(`・ω・´)キリッ
ヒロインとの馴れ初めも、くっだらなくていいなあ。
声掛けてきた娼婦を買ったら、案外“相性がよくて”、一緒に暮らしだして、そして求婚。
早いな!軽いな!物語終盤までとっておかないのか!
あとパンツはけ。
それにしてもこの軽い絆、意外と好印象なんですよねー。
心の絆とかお互いに惹かれるポイントとか、そういった説得力あるシーンをあえて描かず、楽しそうにヤッてるシーンだけってのが逆にいい。
普段の映画での「説得力のあるシーン」って、効率的すぎて嘘くさくて、もう心に響かなくなってるのかもしれません。ラストシーンでかっこいい台詞を吐いて抱き合う二人!ってのは見栄えのするシーンかもしれんけど、大半の人、そういう経験ないもんね。
むしろ、楽しそうにヤッてるシーンのほうが観客にとっても共感しやすいです。こういう事言うと嫁に怒られるかもしれないけれど、結局恋とか愛ってのも、そーゆーコトの上に成り立っていますから(断言)
だから、あのシーンだけのほうが、二人がしっかりした絆を形成することを理解できるっていう逆転現象がおこるわけです。映画のラストシーンまでとっておく必要はないのです。
もっと言うなら、ワンカットだけ挟まれた“ちょっと休憩。。”が非常にいい仕事をしています。ギャグ的にも、心理描写の説得力的にも。あのカット本当大好き!
もうね、パンツの一枚くらい許してやろうという気にもなりますよ。
アクションに関して。
デッドプールが雑魚相手に無双しているときは、あの舐めきった態度と相まってとっても爽快です。敵をナチュラルに挑発しながらひょいひょいと薙ぎ倒していく軽快さ、まさにデッドプールの真骨頂ですね。
反面、強敵とぶつかると魅力が見劣りしちゃいます。舐めきった態度をとればピンチが伝わりづらく、必死になっているとギャグが疎かになる…。デッドプールちゃんもさぞ苦労していたのでしょう。
その辺のムズかしさを、いい感じに和らげてくれたのが銀ピカゴツゴツおじさんこと、コロッサスさん!
なにしろ彼の独特の存在感はそれ自体がギャグです。
無駄にデカい。無駄に固い。
なによりあの銀ぴかな見た目でクソ真面目とか反則です。
しかも、やたらと頑丈なので、ちょっと乱暴に扱っても平気。非常に使い勝手がいいのです。
叩いても、潰しても、ボコボコにしても死なない。ピンチに陥っても死なない。
「ウォゥッ!」とか言って派手に吹っ飛ばされても痛々しくない、むしろ笑える。
つまり、ピンチになったら彼をボコボコにしておけばいいわけです(ひどい
ああ、なんて便利な銀ぴかおじさん!
あとデッドプールとの二人の掛け合いも非常によかったですね。
キャラのたった漫才士コンビのようなしっくり感です。
続編のデッドプール2にもぜひ登場してほしいなぁ。
そして、そんな便利なコロッサスさんを見事に踏み台にして活躍してくれたデッドプール。
やっぱりコイツは悪党です。ずるいです。
終始バカげておきながら、かっこよく決めるとこはしっかり決めて。彼女との絆も妙にかっこいいし。ホントずるい映画ですわ。
酒飲んで笑いながら観るには非常にいい一本です。
コロッサスさんに幸あれ!(ない
コロッサスさんのフィギュアとか欲しい人いるのかな。。