韓国版「完璧な他人」とイタリア版「おとなの事情」の違い解説・感想

僕「オリジナルのイタリアン版と韓国版リメイク、どっちも面白かったなー。」

妻「どっちもハラハラするいい映画やったけど、最初に観たからか、韓国版の方がより緊張感を感じたわ」

僕「うん、たしかに。ストーリーがどうなるかわからない不安もあったけれど、韓国版は交友関係が一気に崩壊するバッドエンドの予感がプンプンしてた(笑)」

妻「せやねん!人間関係の描き方は韓国版の方が濃厚でさ、私は好みだった」

僕「オリジナルのイタリア版には無い要素が追加されてたよね」

妻「うん、女性陣3人の中でのマウントの取り合いというか、表面上仲良くして陰では悪口言ってる感じと、この映画の“秘密が暴かれていく”っていうプロットがすごく相性が良くて、ハラハラした」

僕「昼ドラみたいな人間関係」

妻「そうそう。昼ドラと言えば、嫁姑関係の難しさも韓国版の方が断然上手に描けてた」

僕「イタリア版だと、専業主婦のお嫁さんが姑さんに普通に言い返してたもんね」

妻「それを言い返せない韓国版の方が、日本人にとって共感しやすいよね」

僕「旦那さんもモラハラ気味だったしね」

妻「あと韓国版では獣医の女の子の『若くて可愛い』感じが強調されてて、それに対する年上女性二人の妬みがひしひしとね…」

僕「あー、たしかに!イタリア版はせいぜい『少し年下』程度の年齢差だったけど、韓国版はアイドルみたいなピッチピチの女の子だったもんね」

妻「イタリア版は『パートナーに隠していること』に集中してたけど、韓国版は『みんなに隠していること』も追加されてて、より緊迫感があった

僕「たしかに!映画の間、ずっとハラハラしてた…
そういえば男性陣にも、学歴コンプレックスの要素が追加されてたね。獣医の奥さんがいるクズ男君、低学歴なのを気にしてた」

妻「韓国って、日本以上の学歴社会やねん。学歴=収入がすごく強いんよ」

僕「あ、そうなんだ」

※うちの奥さんは留学中、韓国人の友達とルームシェアしてました

妻「見栄というか、世間体というか、ステータスをすごく気にする民族性もあって、日本と比べて学歴コンプレックスが強いみたい」

僕「韓国のお国柄が映画の味付けにも反映されてたんだね」

妻「どこの国でもステータスの差は気になるんだろうけど、やっぱり韓国って社会的にもステータスを重視する風潮が強いんよね」

僕「ちなみに、冒頭の中国製のプレゼントってどんな意味なの?」

妻「日本でもそうだけど、韓国でも中国製は『質の悪い安物』ってイメージが強いんよ。昔中国の属国だった過去もあるし、感情的にマイナスイメージが強いかな」

僕「なるほど…。あのシーンですでに若い女の子に対してマウントとりにいってたんだね…」

妻「そう。韓国版のほうが、メンバーの描き方がより濃厚で面白いねん」

エンディングの違い

僕「僕は、イタリア版のエンディングが好みなんだよね」

妻「あ、そうなの?」

僕「うん。パーティーで交友関係が崩壊したけれど、外にでるシーンでは何も起きないパラレルワールドみたいな描き方になってて。
『よかった~、あれは満月のみせた妄想か何かかな♪』って安心させてたよね。」

妻「うん、イタリア版も韓国版もそうだったね」

僕「でも、その描き方がだいぶ違うんだ。韓国版は夫婦愛を強調してるって言うか、めでたしめでたしな感じになってる」

妻「仮面夫婦な二人はラブラブ感まで醸し出してたね」

僕「一方でイタリア版は、不倫男君と精神科医の女性は不倫を継続してるし、仮面夫婦の二人は相変わらず仮面夫婦だし、なんかバッドエンドっぽい描き方なんだよね」

妻「たしかに!クズ男に精神科医から『あなたがほしくてたまらない』ってメール来てた!!」

僕「そうそう。満月の幻で『あーよかった♪』って安心させた後で、『あれ?これって実際どっちが幸せだったんだろ…?』ってはっと気づかせて。
これって要するに、『真実を知らずに裏切られ続けるのと、知ってしまって崩壊するのとどっちが良い?』って観客に投げかけてるんだよね。
自分だったら、どうする?」

妻「うーん、究極の選択だね…。私は知りたいけど…いやでも…うーん」

僕「そうやって悩ませる映画って、なんか好きなんだ。だからラストだけ考えると、イタリア版の方が好み。」

妻「なるほどねえ」

国民性の違い?

僕「韓国版のラストでは、特に仮面夫婦の二人がラブラブな感じで終わってたけど、あれはお国柄なのかな?」

妻「韓国が純愛好きってこと?」

僕「うん、冬のソナタとか韓流ドラマとか、純愛好きなイメージがあるからさ。観たことは無いんだけど…。」

妻「純愛好きかは私もわからないけど、韓国人って貞操観念はすごーく強かったよ。」

僕「そういえば以前にも話してたね、韓国人のルームメイトが『付き合って半年で体の関係なんて早すぎる』って言ってたって」

妻「そうそれ!まあ、私が学生の時の話やから、今から十年以上前だけどね」

僕「それにしたって、古風な考え方だよね」

妻「その流れで純愛を尊ぶ風潮はあるのかも」

僕「なるほどねー。韓国版で『専業主婦の奥さんのメールの相手はネット小説の読者で、しかも小説の登場人物は若き日の旦那さんがモデル』と謎の改変されてたのも、純愛感を強調するためかね」

妻「イタリア版だと『下着をつけないよう指示するだけのライトな火遊び』くらいのノリやったね」

僕「ライトかな…そのくらいならOKと思うイタリア人の感覚がわからん…。僕の感覚も、イタリアより韓国に近いんだろな」

妻「あと、イタリア版やとノーパン指示で、韓国版と『下着の色聞く』にハードル下げてた」

僕「あれ?そうだっけ」

嫁「それも『夫のせいで服も自由に着れなくて、下着だけ好きな色にして満足してる』という設定付けもされてて」

僕「気づかなかった…健気やな…」

嫁「ずいぶん韓国人好みな女性像になってたわ」

僕「あ!あと獣医の女の子の元カレの話もだいぶ改変されてたじゃんね!」

妻「えっと、韓国だとペットの犬の繁殖がどうとか、無理矢理感あるエピソードになってたよね」

僕「そうそう!その場でアドレスも消してみせてたし!
一方で、イタリア版は元カレからのセフレへの性欲の相談。いやいや、アウトやろ。俺だったらすごい不快。」

妻「私だったら…、あ、たしかにめっちゃ不快やわ!許されへん!」

僕「それをイタリア版の友人たち、なにを『それくらいなら許してあげようよ~』みたいな空気になってるんだ!
この辺の感覚の違いも、お国柄なのかなー。」

妻「いろいろ違うんやね~
あとなぜか、韓国版のパーティーよりイタリア版のパーティーのほうがお洒落に感じた(笑)」

僕「わかる(笑)俺、横文字料理はお洒落に感じてしまう庶民だからな」

妻「好きだけどね、韓国料理」

****

妻「ところでさ、これは両方の作品共通なんだけどさ…。最後、みんな車で帰ってなかった?」

僕「? そうだけど…」

妻「こんなの指摘するの野暮かもしれないけど…

 飲酒運転…」

僕「!!!」

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