たしかにハーレイ・クインは魅力的だったけど。キャラも立ってて迫力もあっただけに、アメコミの残念なところが如実に目立ってしまった作品でした。映画「スーサイド・スクワット」のネタバレ感想になります。
キャラが魅力。それは確かに。
なんだかんだいって、とにかくハーレイ・クインのキャラクターが可愛かったので、そこはとても評価しています。
頭が完全にイカレた犯罪者のくせに、すっごくチャーミングなんですよね。
この狂気じみたギャップがたまりません。ついつい周りの人間をひきつける強烈なオーラがあります。
ポップでセクシーで、そのくせジョーカーのことだけをひたすら愛し続けちゃうピュアな乙女っぷりもまたいいんですよね(笑)
彼女を演じたマーゴット・ロビーはハマり役をみつけましたね!あと何作かはこのキャラだけでやっていけそう。
アメコミイベントやハロウィンで、彼女のコスプレも大人気だったそうで。気持ちはわかりますね。
日本でも変な影響を受けてしまった、勘違いサブカル系女子が増えないことを祈ります(´・ω・`)
あのキャラは、可愛い子限定なんだからな!!
さてもうひとり、ウィル・スミス演じる「100発100中のスナイパー」が主役級の扱いを受けていたのですが…残念ながらこちらは今一つでした(´・_・`)
かっこいいキャラクターではあったんですけどね。プライドのあるプロフェッショナルで、タフで、家族をなによりも大切にする心優しきナイスガイ…。
う~ん、それっていつものウィル・スミスやん!!アメコミヒーローでなくて、もう余りにもウィル・スミス過ぎるんですよ。
別にウィル・スミスが嫌いってわけじゃないですし、彼のでてる映画にも好きなものはあります。そもそも彼が出ている映画を観ている時点で、ある程度のウィル・スミスっぽさを期待して観てるわけですし。
でも、今回は違うんだよなぁ。
観たかったのはスーパーヴィラン、悪役すれすれのヒーローなんだ。一応「コントロールの難しい犯罪者」って設定なのに、彼はいつも通りのウィル・スミス過ぎて…。
ひょっとして、原作でもあんなウィル・スミスっぽいキャラクターなんでしょうか?でもあまりにウィル・スミスがウィル・スミスしてたせいで、「あぁ、ウィル・スミスだねえ」としか言いようがないウィル・スミスでした。だんだんウィル・スミスがゲシュタルト崩壊してきた。
あとは、みんなイイ感じにダメ人間で、なんだか笑えました。
おばちゃん長官の本気っぷりとのギャップが凄い。
「カタナ」ちゃんがちょっと面白かった。
日本文化をいい感じに勘違いした立ち居振る舞い、妙に棒読みな日本語でしゃべるカタナちゃんの痛々しさは失笑もの。ある意味一見の価値有りです。
やっぱりアメコミ映画の魅力は戦闘シーン
この映画が特に優れているってほどではなかったけど、お金のかかっていそうな戦闘シーンは観ていて楽しかったです。この辺はさすが業界最大手。こういう迫力ある映像をつくるにはどうしても予算が必要ですからねぇ。
邦画でもこれくらいやってワクワクするんだけど、予算の壁はいかんともしがたい。
特によかったのは、ワラワラ群がる雑魚戦闘員を殲滅するシーンと、火炎術士の見せ場のシーンでしょうか。
個人的には火炎術士の奥の手が大好き!!意外性も迫力もあって、思わずテンションをあげてしまいました。かっこよかったなー。
…まあ、「現代に蘇りし古代の魔術師」と「悪魔の力に呪われた男」の究極の勝負が、素手でボカボカ殴りあうってのは、どうなんだとは思いますが(笑)
君ら案外原始的やな!
致命的にバランス感覚のないストーリー
さて、ここからはこの映画の欠点を。
ずばりストーリーの無理矢理さですね。
あまりに説得力のない強引さが目立っています。
もともとがアメコミ(マンガ)の実写化なので、ある程度荒唐無稽なのは仕方ないのですが、それにしてもヒドいよ。
どこぞの長官らしきオバチャンが「メタヒューマンから世界を守るにはコレしかない!!」と力説して、犯罪者からなる特殊チームを強引に結成したわけですが、まったくもってこの人選の意味がわからない。
犯罪者であることを批判しているんじゃないですよ?
明らかに弱すぎるんです。
もちろんウィル・スミスと火炎術士、それに古代の魔術師は超人的な強さを見せてくれましたし、スカウトされるのも納得です。
でも、あとの人選は本当にヒドい。
- ブーメランを武器にするおっさん
- 木製バットを振り回す女子
- ロープを使った暗殺者
- 刀を振り回す女性
- ワニみたいな怪力男
…いや、そりゃたしかにこんなのが街中で暴れてたら厄介というか迷惑ですが…。
ただの暴力的なチンピラというか、役不足感ハンパない。
本当にこのメンツで世界救えると思ったのでしょうか。
訓練された軍隊、それこそアメリカ海兵隊を呼んだほうがよほど頼りになるのでは。
いや、弱いのは別にいいんです。一般人から比べてはるかに能力は高いんですから。
なにが問題かって、こいつらが世界を救うってストーリーが大げさすぎるんです。県庁レベルでも十分じゃないか。
そういう大げさな目的のためじゃなくて、もっと身の丈にあった活躍の場を与えてあげるべきではないでしょうか。
それに、せっかく「犯罪者を集めた非公式部隊」という非常にオモシロい設定を使っているのに、その魅力が活かし切れていません。
もっと小規模で、その設定を活かせるような「非公式部隊だからこそ投入できる極秘作戦」よかったんじゃないでしょうか。十分面白くなったと思うんですよ。
おおっぴらに出来ない人質救出作戦とか、テロリストの影の資金源となっている大富豪を暗殺するとか。
そういった視点で考えると、やたらと真剣で冷酷な司令官のおばちゃんは、この映画の悪い部分を象徴していましたね…。
なんていうか、観客との温度差が凄いんです。
「世界を救うには彼らしかいない」って力説されても、別に誰もコイツラにそんな期待してないのに…。面白おかしく暴れてくれたらそれでいいのに…。
(彼女自身は凄くいい役者さんなんですけどね)
「敵はデカければデカい方がいい」とばかりに、安易に「世界の危機」を設定してしまうのは困りものです。
身の丈を越えた敵を設定しちゃったせいで、無理矢理勝たざるを得ないから、ラストもご都合主義の消化不良で終わっちゃうんです。
説得力もリアリティもあったもんじゃない!
ヒーロー作品にありがちな「世界の危機を救いたい病」に罹ってしまった典型的な作品といえます。
もちろんこの「世界の危機を救いたい病」はアメコミに限らないけれど、やっぱりアメコミには特に多い気がします。ほんとアメリカ人って世界を救うの大好きだな!アメリカらしいわ!
…でも、ハーレイクインはかわいかったし、続編がでたらきっと観ちゃうんだろうな。。