映画『マネーボール』ネタバレ感想 なぜブラピがかっこいいのか?

moneyball

「あ、こういう切り口なんだ!」と意外な面白さがありました。野球好きでなくてもちょっと観てほしい映画です!

マネーボール理論とは統計データ解析を用いたチーム編成で、従来の「人をみる」ことより数字に重きを置いた戦略のことです。ザックリ言えば、完全コスパ主義。もう、これだけで先輩方に嫌われそうな臭いがぷんぷんしてます(笑)
それだけでなく、今まで重視されていた「安打数」「打点」「盗塁」「バント」「勝ち星」を軽視する、要するに今までの考え方に喧嘩を売りまくった方法論で、それを貧乏チームに導入して、悲願のワールドシリーズを目指す物語です。

この時点で、だいぶ物語が読めてきましたね?
ふふふ、しかしあなたの予想は裏切られるのです!!


あらすじ

元プロ野球選手で短気な性格のビリー・ビーン(ブラッド・ピット)は、アスレチックスのゼネラルマネージャーに就任する。チームはワールド・チャンピオンになるには程遠い状態で、優秀な選手は雇えない貧乏球団だった。あるとき、ピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)というデータ分析にたけた人物との出会いをきっかけに、「マネーボール理論」を作り上げる。しかし、「マネーボール理論」に対し選手や監督からは反発を受けてしまい……。

yahoo映画より

予告編


69点

貧乏球団が新しいデータ戦略を駆使して金持ち球団に挑む…。わかりやすいストーリーだな、と最初は思いました。はいはいスポ根スポ根。

きっとデータ戦略をチームに浸透させるのに苦労するだろうし、でもどこかで快進撃のきっかけをつかんで、仲間との絆も取り戻して、見事目標のワールドシリーズ制覇を成し遂げるんだろうなあ。そんでベンチでこっそり笑みをこぼしていたら、仲間たちから荒っぽい祝福g(以下略

でも、僕の予想は良い意味で覆されました!まあ僕がドヤ顔で予想立てるとたいてい外れるんだけどね!

映画の作り方が、巧いなあと思いました。
まず、この映画のテーマは「マネーボール戦略がいかに素晴らしいか」ということではなかったのです。そして弱小チームの快進撃物語でもありません。
もちろんマネーボール戦略の面白さ、興味深さは存分に表現されていますし、チームの活躍も描かれています。でも、この映画の骨格は、もう少し違うところにありました。

主人公は、新しい戦略をチームに導入しようとして、激しい批判を受けました。

彼は誰よりも勝利を願い、結果が伴わないことに苦しみ、それでももがき続けました。

そう、マネーボールという味付けを使いながらも、この映画の魂は「一人の男の熱い闘いの物語」なのです!そのスピリットに感動するのです!

つまり、ドラゴンボールの主人公がドラゴンボールじゃなくて悟空、みたいな!余計わかりにくいですか!そうですか!

主人公を演じるのはブラッドピット、誰もが知るハリウッドスターです。

僕はあんまりワイドショーとかセレブ情報には詳しくないのですが、それでもブラッドピットに関するゴシップはみたことがあります。だから、ブラッドピットが映画にでてるのをみると「あ、ゴシップの人だ…」と頭をよぎってしまうんですよね。
最初からな~んかマイナスイメージがつきまとうというか…。
しかもこの主人公嫁と娘に別居されているという設定だもんね!どんぴしゃ!
だから、「あんまりイメージよくないなー、他の役者のほうがいいかもなー」って思ってたのですが…

なんか途中から、だんだん心が傾いていって。
映画が終わる頃には「あれ?なんだかこのヒトかっこいい…(゚Д゚*)」とすっかりブラピに夢中でした。うん。ちょろい。俺チョロい。

もちろんこの映画で描かれる主人公像がすごく魅力的に描かれてるってのもありますね。
主人公はビリー・ビーンという実在のGMです。GM、ゼネラルマネージャー。野球チームの選手採用を仕切るエライひとのことです。権力者です。

ブラッドピットの甘いマスクで誤魔化されそうになっちゃいますが、こいつ、仕事の上ではけっこう横柄で、協調性がないところもあり、最後は上司権限で独断専決。
というかコレ日本企業だったら完全にアウトだよね。独裁者扱いの嫌われ者コースですよ、織田信長かお前は!!

それでこの俺様GM、全然プロジェクトが全然うまくいかないんですよ。もうね、連敗街道まっしぐら。
でも彼が悩み、落ち込む背中に不思議とどこか心惹かれてしまうんですよねー。

不思議と、と言いつつ、どこに心惹かれるかは薄々気づいています。

それは、彼が誰よりもチームの勝利を願っているから。

これが出世のため、とか保身のためだったら僕らは彼を冷たい目で観て「負けてよかった、ザマミロ」と2chでディスります。ブログも炎上です。(というか、実際に当時のチームのファンは相当叩いていたと思う。)

でも、映画の展開上、僕らは彼の内面に気づいています。
だからついつい応援してしまうんです。
横暴に振る舞っているけど、奴は本当はいい奴なんだ…!

orehaaruku
がんばれジャイアンビリービーン!
負けるなジャイアンズアスレチックス!
うおおおおおおおおお!!。゚(゚´Д`゚)゚。

それにビリー・ビーンが魅力的に描かれているだけでなく、やはり役者もいい!ブラッドピットがいい!いや~、ホント今更だけど、かっこいいねブラッドピット(笑)
顔がかっこいいのは勿論だけど、熱く語る迫力、一人で落ち込む背中、どこか不安そうな横顔…やっぱり格が違うなあって思います。

こういう魅力ってどこから滲み出てくるんでしょう?
やっぱり見た目だけでなく、表情とか仕草とか、理性で捉えきれない小さな違いに人を引きつけるコツがあるのでしょうか?
簡単に言えば“オーラがある”ってことなのかな。
さすがハリウッドスター!32歳の俺の方が若いけど負けるわー!さっすがー!俺のほうが若いけどー!(無謀な対抗意識)

…そういや、ヒロインがいなかったなこの映画。
よかったよかった。ブラッドピットと女がハッピーエンドってのも説得力はあっただろうけど、なんだか軽い映画になっちゃうもんな(笑)

(例)

「やったわね、とうとう。」
「ああ、まあな」
「全てを手に入れた気持ちはどう?」
「…まだひとつ足りない(抱き寄せてキスをする)」

やっすぅぅ!展開が安っぽ!なにより俺の発想が貧困

主人公の魅力に加えて、野球映画としても、ハラハラドキドキさせる展開もなかなか熱い!
スポーツものは意外とノンフィクションと相性がいいんですね。史実通りに描いているのが伝わると、「これは“映画のお約束”が通用しないな…(・ω・´)」ってわりと緊張できるんですよね(笑)

絶対コレ勝つだろ!って展開でも「史実では負けたので負けまーす(^O^)/」っていう結果がありうるわけです。
だからこの映画でも勝つかどうかが、予想がつかない!ドキドキできる!

ホントこの映画、なかなか面白いです。
野球好きも、そうでない人も、ブラピ好きも、そうでない人も、よかったら観てみてください(^^)

以下ネタバレの感想になります

***********

いや~!とにかくビリー/ブラッドピットがかっこよかったです!それに尽きる!!

僕が好きなのは、彼がジンクスに拘り続けていたところ。
(明言されていないけど、文脈から判断しておそらく「自分が観ると負ける」というジンクスを信じてたのでしょう。)

「マネーゲーム理論」というロマンを排除した徹底した合理主義で戦うGMなのに、一方で馬鹿げたジンクスに怯え試合を観ることができない…。
この描写のおかげで、だいぶ映画が面白くなりました。
彼の人間的な面白味を引き上げ、展開に緊迫感を加え、そして同時に彼が乗り越えるべき壁として描く、なかなかの一手だったと思います(≧▽≦)

それに、彼のワールドシリーズ優勝への愚直な拘り!いいですね!これこそが彼を応援してしまう理由でしょうね。

なにせ物語冒頭で既にアスレチックスは地区優勝していて、「あれ?このチーム、貧乏球団ではあっても弱小球団ではなくね?わりと十分じゃね…?」と微妙な気持ちにさせられたのですが、彼の夢はあくまでワールドシリーズで優勝。
だから彼は「これでよし」とはせずに飽くなき闘いを挑み続けた…。

はっきり言って“バカ”だと思います。

だって既に十分な栄光は手に入れているのに?今のままで満足すればいいのに…。苦しみながら求め続けて、結局手に入れることができなかったじゃないか…。

そしてエンディングの娘の歌に繋がります。

「♪ パパはバカね
パパはバカね
もっと野球を楽しんで」

娘からの愛情溢れるこの最後のフレーズ!これがめちゃめちゃいい!!これがまた歌ってる女の子の声も超キュートで。萌え死ぬかと思った。

そうです、結局ビリーはバカなんですよ。高額オファーも蹴っちゃって、貧乏球団に残って、苦しんで苦しんで優勝だけをねらい続ける…。
でも僕にはこの愚直な「侍」が、かっこよくて仕方ないんですよね。

ワールドシリーズには出られなかった。
批評家からも最後は酷評されてしまった。
それでも彼は、戦うことをやめなかった…。

かっこいいいいいぃぃ!!(≧▽≦)

この映画が、「マネーボール理論の物語」でなく「一人の“愛すべきバカ”の物語」であることが理解していただけたでしょうか?
それをすべて理解して、演じきったからこそ、ブラッドピットにかっこよさが出てきたのです。
ただ顔がかっこいいだけじゃなくて、物語の本質を理解する頭と、それを表現するだけの演技力言葉無しでひきつけるオーラが、彼の魅力なのでしょう!

あと、マネーボール理論の提唱者のピーター君。彼いい奴だね
ころころ太ってて憎めないし。

でもピーター君のモデルとなった実在の人物からは「なんで俺がデブのデータオタクになってんだゴルァ!!」とぶちキレられ、実名の使用を許可してもらえなかったとか…(苦笑)
ピーター君の愛らしさは認めるが、ここは変に実在モデルをバカにするべきではないような…。でも彼のキャラクター性のおかげで映画が面白くなったのもたしかだし、難しい問題ですね(^^;

うーん、たしかに自分がやられたら確かにちょっとイヤかも。もしも僕が映画化されたら、自分の役はブラッドピットに演じてほしいです(え

by カエレバ

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