たしかに映像はすごかった。迫力あった。
でもはっきり言ってヒーロー映画としては残念な出来でした。
あらすじ
ジョー・エル(ラッセル・クロウ)は、滅びる寸前の惑星クリプトンから生まれたばかりの息子を宇宙船に乗せて地球へと送り出す。その後クラーク(ヘンリー・カヴィル)は、偶然宇宙船を発見した父(ケヴィン・コスナー)と母(ダイアン・レイン)に大事に育てられる。そして成長した彼は、クリプトン星の生き残りのゾッド将軍と対峙(たいじ)することになり……。
yahoo映画より
28点
いろいろ言いたいことはありますが、まずは詰め込みすぎだと言いたいです。
今作で描かれていることを羅列してみます。
- スーパーマンの出生の秘密・実の両親の苦悩
- クリプトン星の反乱とその結末
- 管理社会への批判と自由への意志
- 育ての父への思い
- 自らの力を隠す葛藤
- 恋人との出会いと恋の成就
うん、ちょっと多いね!詰め込んじゃったよね!
もうちょっとざっくりまとめてみると
●クリプトン星ものがたり(父、母、出生の秘密、)
●ヒーローの苦悩(葛藤、育ての父)
とふたつに分けられるんだけど、気づいたかな?
クリプトン星人の話やたら多いの。
いや、スーパーマンの熱心なファンにとったら大事なのかも知れないです。でも初めて観る僕からしたら、あんまり興味ないっていうか、まずはスーパーマンの活躍観たいかなあって。。
なんていうか、初デートでご実家の家庭問題や出生の秘密を列挙されてる気分です。
大事なことだとは思うんだけどね?あとにしてもらえるかな?
まずは、なぜスーパーマンが魅力的なのかを描写すべきだったと思うんです。空が飛べるからすごいんじゃない。力が強いからすごいんじゃない。
ヒーローの魅力はその苦悩の深さにあります。
人知を越えた力が知られたら迫害されるかも知れない。
でも自分が平和のために犠牲にならなきゃいけない。
正体をばらせないから理解してもらえない。
救えなかった人への悔恨。
そういったいくつもの悩みを抱え、それでもみんなのために戦ってくれるからヒーローは尊いのっ!(力説)
たしかに今作のスーパーマンも悩んでましたよ。迫害されるかもしれないから正体を隠しておこうって。でも全然説得力ないの。
誰一人文句言う気配すらないのに、一人で「苛められたらどうしよう…」ってうじうじ悩んでて、いざ敵がでてきたら「よっしゃ!やっぱ戦うわ」…って、軽いな!おまえの悩みフワッフワやな!
今回、ケビン・コスナー演じる育ての父がすーっごいいい存在感出してるんです。頼りになる親父感とでもいうか。その彼がなんとしても彼の秘密を守ろうとしたエピソードは泣ける!
でも、彼の悩みがフワッフワすぎて逆に違和感を感じちゃうんですよ。お父さん、あそこまでしなくても。ああ、色々ともったいない。
もっとちゃんとヒーローらしい苦悩をみせてほしかったです。
スパイダーマン見習え!彼も「大いなる力には責任が伴う」ってテーマに悩みつつ戦ってたやろ!
バットマンの爪の垢煎じて飲め!バットマンの苦悩をがっつり描いた『ダークナイト』は映画史に残る傑作になったやろ!
パーマンてんとう虫コミックス4巻買え!「パーマンはつらいよ」の回を読め!正座して100回読め!!!
この映画のウリの戦闘シーンについても言いたいです。
確かに映像は派手でおもしろかったです。
ただ、いったい敵がどのくらい強いのかサッパリわからないんですよね…。
別に強くても苦戦することはあると思います。ただ、説得力というか、苦戦するだけの理由ってもんが必要じゃないでしょうか?
「スーパーマンの圧倒的な強さをアピールするぜ!YAHHHHHH!」って気持ちと「苦戦して大逆転してこそヒーロー!(キラキラ)」という気持ちがとてもダメな感じにブレンドされちゃった、どっちつかずな戦闘シーン。
さらに謎理論の不可解さもひどくて(ブラックホールがどうとか、空気がどうとか)、ん?どういうこと?と首をひねっているうちに圧倒的スピード感でスーパーマンが跳ねたり吹っ飛ばされたり。
「あ!よくわかんないけどやられた!」みたいなシーンがとても多いです。
そんなこんなで、気がついたら「圧倒的に強いスーパーマンがよくわかんない理由で苦戦してたけど、頑張ったら勝ってたよ!」という何とも味わいづらいシロモノが出来上がってしまいました。
なんだこれ…どうしてこうなった…。
そして最後は、ユーモアが足らなさすぎるという欠陥。
二時間半という長尺の映画ながら、笑いのポイントはなんとゼロ。
いや、あったのかもしれないが気づきませんでした(気づいてもらえない時点で笑いとしてどうなんだ)。
もちろん映画にとって笑いは必須ではないとは思います。
でも、“スーパーマン”って、エンターテイメントでしょ?圧倒的にエンターテイメントでしょ?それなのにひとかけらの笑いも盛り込まないってどういうことだー!
ついには「笑えるポイントが一個もなかったよね」とコメントしたら、嫁に「でもあのスーツのダサさはむしろギャグだよねー」と返される始末…。嗚呼…。
(ここだけはちょっと同情した(´・ω・`))
まとめ
果たして、これを観てスーパーマンに憧れる子供はいるのでしょうか??
ヒーロー映画に求めるものって一体なんなのか。それは熱い戦闘シーンであり、ユーモアと笑いであり、そしてなによりヒーローとしての苦悩だと、それを逆説的に浮き彫りにした作品になってしまいました。とほほ。
僕もスーパーマンという素材自体には期待しています。今後、おもしろいシリーズになってくれることを祈るばかりです。
大事なことなので、最後にもう一度言います。
「パーマンはつらいよ」は神回なので制作陣は100回読んどけ!!
以上!!