「ナイトクロウラー」とマスコミについて嫁と語り合ってみた/ネタバレ感想

nightcrawler

僕「いやー、主人公のキャラクターがすっごく印象的だったよね」

嫁「彼の押しの強さというか、すごい強引に自分を売り込んでいくところにびっくりっていうか、感心っていうか」

僕「たしかに!ぐいぐい来てたよね(笑)」

嫁「あれがすごい印象強かったわ」

僕「あー、君はああいうアピール苦手そう。就活苦労してたし。」

嫁「せやねん…。うるさいな…。」

主人公はコミュ二ケーション障害?

嫁いやでもな、彼って、本当のところは真面目な人間なんだろうなって思った。周りへの影響とかモラルはともかく、仕事に対して熱心に取り組んでいたのは確かだよね。」

僕「たしかに。冒頭の職探ししてるシーンでも似たようなこと言ってたよね」

嫁「うまく導いてあげたら、一生懸命頑張るタイプの人だったんだろうな」

僕「そういうタイプだからこそ、怖くもあるよね。でも、ちょっと気になったんだけど、あの人どこかに障害を抱えてる気がしない?

嫁「わかるわかる!そんな気がしてた。ちょっと普通の人と違うよね」

僕「病名がつくレベルではないかもしれないけど、他人への共感に欠ける人なんだろうね。だからコミュニケーションが一方通行気味で、相手の反応に関わらず話し続けるし。」

嫁「助手も主人公に言ってたよね、『お前は人の気持ちをわかっていない』とかさ。お給料、ちゃんと上げないのがすごく気になったわ。お給料って大事やで…。車新しくしてる場合じゃないで…。」

僕「理屈を並べれば相手を説得できると思っているところとか、まさにコミュニケーション障害っぽいよね。他人の気持ちを察しようとしないせいで、会話しててなにか違和感を感じる。だから就活も失敗したのかな。
映画の根本的な問題の『他人を犠牲にしても良心が痛まない』ところは、彼の性質にもよるのかも」

嫁「映画の序盤からさ、だんだん彼がエスカレートしていくんだろうなーってすっごく想像できて、恐ろしかったわ…。」

メディアについて考えた

僕「おばちゃんプロデューサーの倫理観のなさもヒドかったなー。取材、制作サイドも報道倫理を持ったプロばかりではないってのを極端な形で描いてるね。」

嫁「私、この映画はAmazonプライムビデオでレビュアーの点数が高かったから選んでみたんだけどさ」

僕「そうなんだ。君にしては珍しいチョイスだとは思ってた」

嫁「レビュアーの評価は高かったけど、私は好きじゃなかったな。
ニュースの裏側なんて別に知ってるし薄々気づいているし。それをわざわざこんな後味悪く見せつけなくてもいいじゃん!」

僕「あー、たしかに、衝撃の事実ってほどでもないし、ただただ胸糞悪いよね。」

嫁「テレビの報道が偏向してるってのは、別にみんな知ってることじゃない?レビューでは『観てよかった』なんて感想でてたけど、あんまり実感できなかったなぁ。今更これを観たところで、新たな事実ってわけじゃなくてさ」

僕「うん。まあ、俺たちもういい年だし、わりと報道をスレた不信の目で見てるほうだしね。性善説でテレビ観てる人もいるし、俺らももし学生の時とかに観てたら、かなりインパクトあったんじゃないかな?
まあ、そもそも我が家はあんまりテレビ観ないから…」

嫁「ああ、そうかも。うち、テレビ観ないよね…。『おかあさんといっしょ』と『きかんしゃトーマス』くらいしかつけてないね…」

僕「でも、映画観てて思ったんだけど、誰が悪かったんだろう

嫁「そりゃ取材した主人公だけど、それを採用した放送局にも責任があるってこと?」

僕「うん、もちろん記者も放送局も悪いけど、それだけじゃなくて、結局それを観ている視聴者にも責任があるんじゃないかなって」

嫁「視聴者?」

僕「うん。制作サイドも結局『視聴率につながるから』非倫理的な映像を流すのであって、視聴者が拒否するような映像は流さないよね」

嫁「そういうことか…。でも私にとってテレビって受け身で観るものだから、観ている視聴者に責任があるって言われても困っちゃうかな」

僕「たしかに観たくないニュース流れても、わざわざチャンネル変えたりしないかもね」

嫁「やっぱり放送局に責任感というか、もっと『報道の良心』をもってほしい!

僕「でも放送局も突き詰めて言えば営利企業だし、視聴率=スポンサー企業からの報酬を追求するのは仕方ない面もあるよね
それに、主人公やディレクターのおばちゃんみてると、そんなの絵空事かもって思っちゃう」

嫁「うー…。たしかに。プライドの塊だったよねえ」

僕「でも、主人公はむしろ仕事に愚直なだけにも見えたし、ディレクターの持つプライドもわりと当たり前の感情だよね。」

嫁「そっか…この物語もけっこう普遍的にありうる話なのかも…」

僕「みんな視聴率欲しいしね」




嫁「そもそもさ、視聴率って何なの?」

僕「全国からランダムに抽出した家庭に、視聴率調査機をおいて調べてるって、こち亀で読んだ。

嫁「そんなの持ってる知り合い、今まで一人もいなかったんだけど」

僕「そりゃ、守秘義務があるから内緒にしてるもん。この家が視聴率決めてるってわかれば、局の偉い人が金一封もってお願いできるじゃん?…って、こち亀で読んだ

嫁「はー。なるほど」

僕「まあ、全国10,000世帯に配ったとしても、仮に日本の世帯数が5千万だとしたら、5千人に一人位の確率だからね。」

嫁「そりゃなかなか会えないわけだね」

僕「ただ、今はもう地デジになってデータ放送とかやってるし、別にそんな機械置かなくてもリアルタイムで全家庭の視聴率を計測できる気もするんだけどねー。知らないうちに計測されてたりして。」

嫁「ただねえ、視聴率に影響与えてるって言われても、どのチャンネルもわりと横並びで、選択肢がないんだよね」

僕「横並び?」

嫁「うん。朝はどのチャンネルもニュース番組、昼はどのチャンネルもワイドショー、夜はどのチャンネルもバラエティ。やってる中身も大差ないんだよねー。」

僕「あー、なるほど」

嫁「退屈だから仕方なくつけてるだけで、見たい番組を選んでるという意識はあんまりないんだよ。正直ワイドショーとか興味ない。芸能人の離婚とか、相撲協会のごたごたとか、皇室の噂とか。観たいわけじゃないのに、昼間はどのチャンネルもそんなのだし。」

僕「だからこそ、主人公みたいな過激な取材で唯一無二になりたがるのかもね。」

嫁「そうかもー。でも私は、この映画みたいに過激な取材してる番組あっても、急いでチャンネル変えたりはしないとおもう。つける意味でも消す意味でも。

僕「なるほど、テレビは受け身ってそういうことね」

嫁「そういえば、昔大きな地震があったときね、被災地の人が『どのチャンネルも地震報道してくれるのはありがたいけど、すべて同じ内容だからあんまり意味ない。このチャンネルは空いてる避難所の情報、このチャンネルは物資の供給場所の情報、このチャンネルは探し人、このチャンネルは心が癒されるアニメって分けてくれたらいいなあ』ってブログか何かで発言しててさ。それ思い出したよ。」

僕「わかるなぁ(笑) たぶん、ひとつの放送局にひとつのチャンネルしかないのが一番の原因だと思う。1局に5つくらいチャンネルあれば、『硬派なニュース専門チャンネル』『下世話なワイドショーチャンネル』『お笑い・バラエティ特化』『いつでもアニメ』『教養番組オンリー』ってできるんじゃないかな」

嫁「そうだよ!!日本もそうすべき!!硬派なニュースだけチャンネルとか教養チャンネルほしい!中国では、もうそうなってるよ。びっくりするくらいチャンネル多い」(※中国滞在経験あり)

僕「アメリカでも確かそうだったはず。でもアメリカにしても中国にしても、その番組数ってほとんど有料のケーブルテレビと契約してるからじゃないかな」

嫁「そういえばそうだった」

僕「だから、今の日本でも、お金さえ出せば同じチャンネル数は実現できるんだよ」

嫁「は!!!」

僕「うちはわざわざお金払いたくないから、ケーブルもBSも契約してないだけで…お金さえだせば、硬派なニュースだけチャンネルとか教養チャンネルもみれるぜ?」

嫁「そ、そうよね…。」

僕「観たいの?」

嫁「いや、お金出すほどでは…。」

僕「だよね(笑)」

嫁「でも、私小さい頃の印象のせいか、地上波こそおもしろい番組やってて、BSとかケーブルはくだらないのってイメージだけど。」

僕「それ、昔は『学校で話題になる番組』が一番重要だったからじゃね?」

嫁「おっしゃるとおりで…。」

僕「でも、たしかに良質なテレビ番組は観たいけど、お金を払うほどではないよね。けど、誰かが番組制作のお金を払わなきゃいけないわけで。」

嫁「お金を払っている人がいたら、その人に都合がよくなるのは当たり前だよねえ。それを意識してテレビを観るしかないのか…。スポンサー企業が制作費払うのなら視聴率重視・スポンサー重視になるのも当たり前だし、視聴者重視の番組作ってほしかったら、視聴者が制作費を負担しなきゃいけないのよね…」

僕「そのうち『良識ある報道しかしません』っていうニュースチャンネルが現れて、視聴者みんながそこを選択して制作費を負担するようになれば、この映画みたいな事件も減るんだろうけど…」

嫁「そううまくいくかなあ?」

僕「いやあ、難しいだろうなあ。みんな『知りたい』っていう欲求はあるわけだし」

嫁「やっぱり『視聴者が責任を持つべき』ってだけでは無理があるよねえ」

僕「映画の二人を観てると、やっぱり取材方法や放送倫理について一定のルールは必要なんだと思っちゃうな」

まとめ

嫁「いろいろ考えさせられたけど、映画として好きかと言われると苦手かなあ。後味悪い(´・ω・`)」

僕「メディアとの関わり方を考え直させられるよね。ちゃんとした報道チャンネルと契約して、お金を払って応援するべきなのかも。新聞とかとるべきかなぁ」

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