僕「あの未送信メールがキツすぎて、立ち直れない…」
嫁「まあ、自業自得やね。あんな裏切りしながら愛してもらおうなんてムシが良すぎるわ」
僕「いやまあ、そうなんだけど、バレてるとは限らなくない…?」
嫁「は? 気づかへんわけないやん」
僕「はい…(´・ω・`) でもきっとあの女の人、ガチの不倫って感じじゃなかったよね。まあ不倫は不倫なんだけど、本気じゃないと言うか」
嫁「うん。あれは本気ちゃう。『先生』って呼んでたし、ファンか何かに手を出しただけで、火遊びかなんかやね。」
僕「そうなんだよ、ついフラっと魔が差しただけで。いきなり愛してないとか可哀想や(´;ω;`)」
嫁「なんでそんな同情してんの?ていうか誰の話?
まあ、どっちにしろ奥さんに対する接し方もだいぶヒドかったしね」
僕「それでもさ、出発前はなんだかんだ仲良さそうだったのに。本当は愛情も枯れ果ててたのに、笑って一緒に住んでるのかよ…。」
嫁「それはねえ、違うと思う」
僕「え?」
嫁「奥さん、本当に愛してなかったわけじゃないと思うわ」
僕「え?でもあのメールはどういうこと?」
嫁「たぶん、以前喧嘩したときとか嫌になったときに打ったけど、結局送信しなかったメールだと思う」
僕「その時は感情が高ぶってたけど…ってこと?」
嫁「そう。でも冷静になって、そうしなかった。本当はやっぱり、好きだったんだと思う」
僕「そんなもんかなあ」
嫁「そんなもんだよ。書いただけでスッキリして気持ちが落ち着くとかあるもん」
僕「…やけに詳しいな。」
嫁「そうかな」
僕「…未送信メールとかあったりする?」
嫁「そんなん秘密やで」
僕「…。」
嫁「長年一緒に暮らしてたら、そりゃ色々あるやろ。でも、大事なのは、あのメールを打ったことより、送らなかったことじゃないかな」
僕「なるほどなー。本当に別れたかったら、とっくに別れてるよな。あの女の人、美容師としても成功しして経済力ありそうだったし」
嫁「専業主婦だったら『旦那は嫌いだけど別れたら生活できない』ってケースもあるけど、あの人はいつでも別れられるよね」
僕「そうか!完全に嫌われてると思ってたけど、ちょっと安心できた!」
嫁「ま、あの調子だったらいつ嫌われてもおかしくないけどな」
僕「…。」
主人公の性格
嫁「そういえば主人公さ、けっこう性格悪かった癖に、子供の前ではすごくいい人だったよね」
僕「うん。子供苦手で未経験なくせにやたら扱いが上手で、子育て世代からみるとあそこはちょっとリアリティが足りないと思った(笑)」
嫁「子育てはあんな楽ちゃうで…(苦笑)」
僕「もっと苦戦して絶望してるシーンがあった方が、説得力あったかもね。どんだけ怒っても優しく諭しても泣きわめき続けるとか」
嫁「閉めても閉めても注意しても注意しても玄関や部屋の扉を開けっ放しにしてイライラしてくるとか」
僕「玄関に歯磨き粉塗りたくるとか」
嫁「白のソファーにブドウジュースこぼしてシミを作るとか」
僕「…やめよう」
嫁「せやな」
嫁「でも子供の前ではめっちゃいい人のくせして、大人の前では途端に性格悪くなったよね。あのギャップはなんなん?」
僕「うーん、たぶんあの人は、相手が逆らわないって察すると、途端に態度が悪くなるタイプなんだろうね。出版社の人間とか、気を許しきった相手とかには失礼な態度に出れるんだ」
嫁「相手によって態度を変えるってヒドいな」
僕「俺もあの手のタイプは苦手。上にはヘコヘコして部下には横暴なタイプやで」
嫁「最悪や!」
子役
嫁「私、子役の子がよかったな。上手やった。」
僕「そういえばせやな。ぜんぜん違和感とか、演技臭さとかなかったわ。たまに邦画ってびっくりするくらい棒読みな子役出てくるもんな」
嫁「うん。二人とも上手やった。そんで二人ともかわいいねん。特にお兄ちゃんなんて、一人ですごい苦労して、我慢して、そりゃ思わず応援してまうで!!」
僕「近所のおばちゃんか!」
嫁「店の中で妹ぐずって寝っ転がるわ、モヤシぶちまけるわ、塾も諦めなあかんわで、身も心もボロボロになって帰ったらお父ちゃんがこたつでお尻半分出して寝ててさぁ…そりゃあんな表情してまうわ!」
僕「全てに疲れきった顔しとったなw」
嫁「最後、学制服着とったけど、志望校入れたんかなあ。入れとったらええなあ」
僕「まー、それはどっちでも大丈夫なんじゃないかな」
嫁「どういうこと?」
僕「きっと志望校に入れなくても、あいつは前向きに頑張れるんじゃないかな。父親とも和解できたし、学歴だけが全てじゃないってちゃんとわかってると思うんだよね。」
嫁「そっかぁ」
僕「それに進学校に入らなくても、頑張っていい大学はいるのは十分可能やで。無理して自分より上のレベルの学校行ってもついていくだけでしんどいだろうし。」
嫁「せやな。できたら努力は報われてほしいけどな。でもあの子が幸せになってくれるんやったらええかな」
僕「お母さんが亡くなって生活も苦しいやろし」
嫁「あ、でも大型トラックの運転手ってな、結構稼ぎいいねんで?」
僕「え!そうなん!?」
嫁「仕事絡みで少し知ってるねんけど、一般人よりかなーり高いねんで~」
僕「へー。なんか低所得者層のイメージあったわ。意外…。」
長距離運転や大型になるほど給料が上がり、手取りで月30万とか40万の人もいました。
僕「でもあの親父さんがいい味出てると思ったなあ。インパクト強かったし。」
嫁「そういえば上手だったよね!あの人誰?」
僕「かすかな記憶だけど、ピストンナントカって、たしかボクシング選手だったような…」
嫁「へー!ボクシングか!たしかにイカツかったもんな!!」
僕「家族を愛してる不器用な父親っていうシンプルな役だけど、人懐っこさとか存在感がすごく出てたよね。演技力っていうより、人柄?ガタイいいからか、何事にもインパクトがあっていいよね」
嫁「時々、怒ってるかと勘違いするくらい間を空けるときがあって、怖かった(笑)」
僕「『今日あったばっかりのくせに…………、』のシーンとかやな、ほんまそれ(笑)」
嫁「でもホンマはいい人なんよね。主人公よりよっぽど好感持てるわ」
僕「でもきっと、彼を主役にした父子の物語だったら、シンプルすぎてあんまり面白くないんだろうな」
嫁「なるほど。そうかもな。素直によかったよかったで終わる話じゃなかったからこそ、強く心に残るのかもしれへんな。」
僕「でもそんな映画だったら、あの悲しいメールをみることも無かった…うぅ…」
嫁「ひきずってるな」
あの写真の意味は
僕「でもラストでさ、主人公の奥さんと、竹原ピストルの家族が一緒に海で撮った写真あったじゃんね」
嫁「うん。あった」
僕「俺は、あれが“救い”じゃないかなって考えてるんだ」
嫁「うん、うん」
僕「鍋食いながら『あいつは俺の子供なんかほしくなかった』って言った時、『そうじゃないと思う。ナッちゃんは、ホントは子供ほしかったんじゃないかな』って反論してたじゃん。
あの話に信憑性が出てくるんだ。」
嫁「そだね。女の子が親友と会って話してたら、その辺の悩みや愚痴、絶対言ってる。」
僕「言うよね、女子は…」
嫁「言う。全部言う。」
僕「彼もその話聞いてたんだろな。だからきっと奥さんは、本当に子供ほしかったし、本当はちゃんと主人公のこと好きだったはずなんだ…あの写真にはそういう意味があるはずなんだよ…」
嫁「うん。私もそうだと思ってたよ」
僕「やっぱそうだよね。よかった…。」
嫁「メール気にしすぎや」
僕「それに、さすがにあの場で『ナッちゃんは子供欲しいって言ってたよ』とは言いづらいよね」
嫁「そうだね、もう今更どうしようもないもんね。言ったところで悲しいだけやもん」
まとめ
僕「主人公は前半は最低だったけど、最後のほうはなんか同情してしまった。」
嫁「主人公に感情移入はできなかったけど、彼もようやく奥さんへの気持ちというか、愛情の大切さに気づけたんちゃうかな」
僕「『人生は他者だ』」
嫁「そうそれ」
僕「それに気づけたのは前進ではあるけど、奥さんいなくなって初めて気づくなんて、残酷な話やで。でもこの切なさのせいで、きっと忘れられない映画になるんやろな」
嫁「奥さんは大事にするんやで(ドヤ顔)」