僕「すごく重たいけど、いい映画だった」
嫁「いい映画だけど、すごく重たい…(´・_・`)」
僕「『ミニオン危機一髪』とどっち観るか悩んで選んだだけに、よけいに重たく感じるね」
嫁「それはあるね(笑)」
僕「映画の途中まで勘違いしてたけど、これアメリカが舞台だったんだね。俺『マンチェスター』っていうからイギリスだと思ってた」
嫁「○○州って単語が何度か出てきたし、アメリカだよね」
僕「ほら、『マンチェスターユナイテッド』ってイギリスのサッカーチームあるじゃん」
嫁「私サッカーよく知らない」
僕「そっか…」
嫁「海沿いの、いい雰囲気の町だったね」
僕「うん。でもなんか寂しげな町だったね。活気もなかったし」
嫁「そうだね。いつも曇り空だったし、寒そうだったしね」
僕「漁業の町っぽかったし、実際に廃れていってたのかもしれないけど、それより、主人公の気持ちを反映していたんだろうね」
嫁「そうだね。あれだけ辛いことがあった町なんだもん」
僕「事件の日の夜も、主人公は仲間とバカ騒ぎしながら楽しんでいたし、決して寂しい町ではなかったんだよね」
事件の話
嫁「あの事件、私には辛すぎるわ…ちょうどうちの子達と同じ年齢くらいでしょ。想像するだけで無理…」
僕「そうだね…」
嫁「お母さんさ、中に駆け込むのを止められて、酸素吸入つけられて、暴れていたでしょ」
僕「うん」
嫁「私すごく気持ちわかる。助けてほしくなんかないと思う、どれだけ危険でも子供達のそばに行かせてほしかった。自分だけ助かる方がキツい。一緒に死なせてほしかったんだろうな。」
僕「周りはそうさせるわけにはいかないさ…」
嫁「でもお母さんの悲しみを思うと耐えられない。子供が親より先に死ぬほどかなしいことはないね…」
僕「うん…。主人公も辛かっただろうね。自分のミスで…」
嫁「冒頭の船のシーンとか、回想シーンとか、すごくテンション高くて、それがあんな性格になっちゃって、よっぽどつらかったんだと思う」
僕「正直、最初同一人物だと思ってなかった」
嫁「暖炉のスクリーン付け忘れたって言ってたけど、スクリーンってなに?」
僕「たぶんだけど、燃えてる薪がはぜたり崩れたりして部屋側に転がり出るのを防ぐ仕切りなんだろうね」
嫁「ふーん…」
僕「きっと暖炉って、こまめに付けたり消したりするようなものじゃないから、その場を離れる時はそれで火事の予防をするんだよ」
嫁「火がついてる薪をいちいち消火してたら大変だもんね」
僕「部屋を暖めたかったみたいだし」
嫁「取り調べでも言ってたね。『スクリーンの付け忘れなんて誰でもある』って。」
僕「きっとホントに、ただのうっかりミスなんだよね…。仮にスクリーン付け忘れても、普通は薪が崩れることも火事になることもないんだろな。とにかく、悪い偶然が重なった」
嫁「ただのミスとは言え、主人公は耐えられへんやろな」
僕「うん、警察の取り調べの後も自殺しようとしてたし…
それに、『俺は何の罪にもならないのか?』って警察に聞いてたし…。誰かに罰してほしかったんだろな…。」
嫁「そうやね…。マリファナやコカインを使ってたとか、言わんでもいいことまで警察に証言してたもんね」
僕「奥さんも、主人公を許せなかったみたいだね。もしも、俺らが同じ状況になったら、どうする?俺の怠慢で子供達が死んでしまったら。」
嫁「えー…。うーーーーん、やっぱり無理かなあ。許せないと思う…。」
僕「そっか…(・ω・`) いや、うん、そうだよね」
嫁「面と向かって罵倒できないかもしれないけど、許すことも出来なさそう。それは無理。どんだけ好きでも、子供を失うって辛すぎるよ」
僕「たしかにな。理性的になれる話じゃないもんな。」
嫁「それに、二人が一緒にいても辛いだけだと思う。二人でいたら絶対に思い出しちゃうし、悲しいだけだよ」
僕「あー…それはある。お互い幸せになるのに罪悪感を感じてしまいそうだね。それぞれ別々に幸せになったほうがいいのかもしれないね」
嫁「奥さん、新しい相手見つけてたしね」
僕「なんなんだよアレ!幸せになるのはいいけど、紹介するなよ!!!」
嫁「いや私に怒られても」
僕「俺、映画でよく見るけど、アメリカのああいう風潮マジで理解できない!なんで新しい彼氏とか新しい旦那を引き合わせるの!?
前の旦那の身内の葬儀に、新しい旦那連れてくんなよ!!!」
嫁「アメリカじゃああいうのカップルで出席するのが当然なんじゃないの?知らんけど」
僕「だとしても許せん!!」
嫁「許せないと言えば、私はパトリック(主人公の甥)のお母さんが許せなかった」
僕「ん?なんで?」
嫁「勝手に子供捨てて、旦那死んだら急に母親面して引き取るって言って、期待だけさせといて勝手に手のひら返して…。パトリックがかわいそう!!」
僕「まあ、本当は母親はパトリックを引き取りたかったのかもしれないよ?新しい旦那が嫌がったとか。
それに失踪したのも、アル中の自分がいたら子供に迷惑をかけてしまうから、自ら姿を消した可能性もあるし…」
嫁「そっか…そうだとしたら、お母さんもかわいそうやけどね…」
僕「まあ、結果的にパトリックを期待だけさせて裏切ってるし、ちゃんと新しい旦那を説得してから息子を引き取るって言うべきだよね」
嫁「そうそう」
僕「そういえば、パトリックが凹んでたとき、主人公がすごく気を使ってて面白かった(笑)」
嫁「そうそう!『なんか食べる?』とか『女の子家に呼ぶ?』とかオロオロしてたよね。不器用でかわいかったw」
主人公の再生
嫁「私、あのシーンを境に、主人公とパトリックの距離がぐっと近づいた気がするんだよね」
僕「…そういわれてみればそうかも。」
嫁「主人公はボストンにいるとき、ずっと無愛想で不機嫌そうだったでしょ。でも最後の方はパトリックといるとき、穏やかで少し楽しそうだった」
僕「うん、拾ったボールで遊んでたりしてたな。」
嫁「主人公は『乗り越えられない』って言ってたけど、やっぱり立ち直り始めてるんだと思うよ。パトリックとの交流を通じて」
僕「そうだね。『子供との交流を通じて再生する物語』なんていうと安っぽさを感じちゃうけど、この映画の味付けは絶妙にビターだったな。決してパトリックと仲良く楽しく過ごしたわけじゃないし、子供の死への後悔はやっぱり乗り越えられない。そういう残酷な現実を認めた上で、彼の再生の第一歩を描いてくれたのには、心を打たれたね」
嫁「そうそう!彼は絶対再生していくよ。人の心を癒すのは、やっぱり人との繋がりなんだと思う」
僕「きっと、お兄さんもそこまで考えて彼を後見人にしたんだろうな。お兄さんは事件前の陽気な主人公も、事件後のふさぎ込んだ主人公も知ってる。俺も弟がいるからわかるけど、絶対にどうにかしたかったんだと思う。」
嫁「なるほどねー…」
僕「お兄さんにとって、パトリックは世界で一番大切な存在のはずだよ。そのパトリックを預ける相手を、気まぐれで決めるなんて考えられない。あれだけ予算とか綿密に計算してた人だし。きっと、相当な覚悟と願いで、主人公にパトリックを託したんだよ」
嫁「そういわれてみれば、確かに」
僕「いい映画だよね」
嫁「そういえば、映画の冒頭とラストのシーン、どちらも主人公とパトリックが一緒に船に乗ってるシーンなんだよね。対になっているというか、すごく心にきたよ」
僕「……ほんとだ!そうだった!なるほどー、あれこそ、主人公の再生の象徴なのかもしれないね。
やっぱり良い映画だなぁ」