ターゲッティングが見事というか、「うちはオシャレ好きな恋愛好きな女子をターゲットにしています!」という割り切りが良かったですね。
シンプルで、期待通りに可愛らしい作品でした。
あらすじ
女性にとって大人気の職業が秘書で、さらにタイプライター早打ち大会に勝つことが最高のステータスだった1950年代のフランス。田舎出身のローズ(デボラ・フランソワ)は保険会社の秘書に採用されるが、ぶきっちょで失敗してばかり。そんな彼女の唯一の才能であるタイプ早打ちに目を付けた上司ルイ(ロマン・デュリス)は、二人で協力し、タイプ早打ち世界大会に出ないかと提案する。
yahoo映画より
予告編
とってもターゲッティングが見事!
ターゲッティングってどういうことかというと、女の子のための女の子の映画という割り切りです。
たとえばこの作品、女の子が好む感情の揺らぎを描くことにすごく力を入れているんですよね。
なにしろ、よく考えるとこの物語って、ほとんど「出会う」→「練習する」→「試合に挑む」だけで構成されているんです。すっごくシンプル。ストーリーを理解したり、予想する必要がほとんどありません。
そのぶん映画のほとんどの時間は主人公二人の感情の揺らぎ…微妙に近づいたり離れたりといった、恋のやりとりを描くことに費やされているんですね。
それに、主人公二人の描かれ方も、女の子好みだといえます。
基本的に男主人公ルイ・エシャールは「仕事は出来るけど、バカな男」で、ヒロインであるローズは「ドジだけど、一途な女の子」として描かれています。少女漫画にありがちですね(笑)
ルイがうだうだ迷ったり、相手の気持ちに鈍感だったり、一言でいうと「ほんと男ってバカよね」って映画にも思えます。
男もここまでバカじゃないと思うんだけどなー…(´・ω・`)
特に「誕生日プレゼントに全然イケてない手作りタイピンググッズ」のくだりとか、その最たるモノですね…。彼からの全然イケてないプレゼントの話とか、女子会のかっこうの話題のネタになってそう…(ーー;)
逆に洗濯機からブラジャー見つけちゃったシーンなんかじゃ、ルイがあたふたするところをローズが余裕でからかってみせたり、なんだかんだで女性優位な関係性も感じます。
総じて、男性としてはいささか不満ではありますが、女性は喜びそうな関係でしたね(笑)
パッケージも戦略的。
DVDの表紙がまたうまいですよね。
ピンク色でポップでかわいらしく、女の子が「観たい!」って思うようなデザインです。でもこれって、よく考えると映画の中ではCM撮影として使われていたシーンであって、物語そのものとはちょっと違いますよね。
実際の物語はあそこまでオシャレじゃなかったよ!
この割り切りが、うまいんです。
たとえ物語の中の本筋じゃないにしても、いかにも女子が好きそうな(そして男はスルーしそうな)カットを表紙に選んじゃうセンス。
あえてこの可愛らしい表紙を踏み絵にすることで、女性客のみを的確に選別しているわけです!僕も嫁がいなかったら絶対観ない映画だもんなー。
気に入ってくれるだけを巧みに映画に誘導して、あわなそうな人は最初から呼ばないから、観た人はみんな満足する、と。う~ん、商売上手!
…ま、「必死でタイプの練習してる様子」とか「タイプの試合の風景」じゃあ、地味すぎて誰も観たくならないですしね…(笑)
素材は地味だが盛り上げ上手
映画自体の内容だと、「タイプの早うち」という地味な競技をよくここまで盛り上げたなあと感心しました(笑)
特に、フランス大会チャンピオンのアニーがおもしろかったなー。
めっちゃ余裕ぶってる性格悪いキャラのくせに、なんか憎めない(笑)
敵役としても、どれだけ追いつめても余裕の笑みを崩さないのがイイ感じでしたね!最後まで勝てるかよくわかんなかったよ!
いや~、いい存在感だったな。
正直このフランス大会が物語のラストかと思ってたし、アメリカ代表の三角眼鏡おばちゃんよりこっちのほうがボスキャラっぽくてよかったかも。
タイプライターで次の行へ移るとき、\カシャーン!/ってやるじゃないですか。あれを優雅で情熱的なパフォーマンスに昇華させていて、感心すると同時に笑ってしまったw
なんなんだよそのドヤ顔はwww
\カシャーン!/
フランス人ってやっぱエロいすごい
ラストの「アメリカ人はビジネスを、フランス人は恋を」じゃないけど、随所にフランス人らしいエロさロマンスの気配を感じる映画でしたね。
たとえば冒頭のローズとルイの出会いのシーン。
面接がうまくいかず、特技のタイプ早うちを披露するシーンですね。
笑顔で振り向くだけでいいのに、
- ちょっと息が上がってて
- 束ねていた髪がほどけてて
- 服がずり落ちブラの紐がみえちゃう
いやー、このシーンうまいね!大好き!
ワンカットの中でこれだけエロさロマンスの気配を感じさせるテクニックを詰め込むとかホントすごい。フランス人らしさ炸裂ですね。
ちなみに、思わず「うまいな…」と呟いたら、嫁は「すごくタイプうまいよね!」と勘違いしてました。ほんと鈍い。
他にも、洗濯機からブラジャーをみつけるシーンもそうだし、控えめながら濡れ場をしっかり描いてくるとことかすっごくフランス人。
この物語、別に濡れ場無くても成立するよね!
邦画だったら絶対脱がないよね!
それでも絶対にこういうシーン入れてくるのがフランス映画なんですよ。
どうもフランス人って、映画でこういうシーンを描かずにはいられないみたいです(笑)
やっぱりフランス人は、本当にエロがロマンスの気配が大好きなんでしょうね!